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2021 年度 実施状況報告書

ダウン症が引き起こすアミロイド分解酵素の発現および活性の低下機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K07070
研究機関横浜薬科大学

研究代表者

浅井 将  横浜薬科大学, 薬学部, 講師 (90383223)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードダウン症 / アルツハイマー病 / DYRK1A / ネプリライシン / 21番染色体 / ダウン症責任領域 / リン酸化 / プロテアーゼ
研究実績の概要

21番染色体がトリソミーとなっているダウン症者は40代という早期からアルツハイマー病を発症し、脳内にアミロイドβペプチド(Aβ)が沈着する。ダウン症責任領域に存在する二重特異性チロシンリン酸化調節キナーゼ1A(dual-specificity tyrosine-(Y)-phosphorylation-regulated kinase 1A, DYRK1A)の過剰発現は、Aβの前駆体であるAPP(amyloid precursor protein)やAβを産生する酵素複合体構成因子のプレセニリンのリン酸化を介してAβ産生を亢進させ、Aβの主要分解酵素であるネプリライシンのリン酸化を介してAβ分解を抑制する。
DYRK1Aによるネプリライシンの活性制御機構を明らかにするために、細胞内領域のリン酸化を詳細に解析した。神経系株化細胞にDYRK1Aを過剰発現させリン酸化特異的抗体を用いたウェスタンブロット解析により、ネプリライシンの細胞内領域のリン酸化が亢進することがわかった。さらに、リコンビナントDYRK1Aとネプリライシンの細胞内領域の合成ペプチドを用いたin vitroキナーゼ解析により、スレオニンへの直接的なリン酸化が確認された。
本研究から、DYRK1Aはネプリライシンのスレオニンを直接リン酸化することにより、活性低下を導いていることが示唆された。
またDYRK1Aはアルツハイマー病に対して増悪因子であることから、その阻害剤は有用な治療薬となり得る。そこで、DYRK1A阻害剤のスクリーニングを行うために
AlphaLISAを利用した実験系と培養細胞を用いた実験系の確立を目指している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

所属研究室の変更やコロナ禍のため。

今後の研究の推進方策

・DYRK1Aのノックダウンや薬理学阻害によるネプリライシン活性の解析
DYRK1AのsiRNAを用いたノックダウンや既存の阻害剤を用いた薬理的作用によってDYRK1Aのキナーゼ活性阻害位を行い、その際の培養上清中のAβ量をサンドイッチELISAで定量する。またAβ量とネプリライシン活性の相関を解析する。
・DYRK1Aによるネプリライシンのリン酸化阻害化合物のスクリーニング
リコンビナントDYRK1Aおよびネプリライシンの細胞内領域にビオチンを付加した合成ペプチドを用いたAlphaLISAによるDYRK1Aの阻害化合物のスクリーニング系を確立し、化合物ライブラリーから新規DYRK1A阻害剤のスクリーニングを行う。
スクリーニングでヒットした化合物処理による培養細胞系でのネプリライシンのリン酸化、活性、発現を解析し、既存の阻害剤と比較する。

次年度使用額が生じた理由

研究遂行に想定以上に時間を要し、新型コロナウイルスの感染拡大により予定通り進まなかったため。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Molecular profiling of ginsenoside metabolites to identify estrogen receptor α activity.2022

    • 著者名/発表者名
      Kikegawa M, Nakajima A, Yu J, Asai M, Uesawa Y, Sone H
    • 雑誌名

      Gene

      巻: 813 ページ: 146108

    • DOI

      10.1016/j.gene.2021.146108

    • 査読あり
  • [学会発表] メラニン生合成に関わる膜タンパク質へのプロテアーゼの関与2022

    • 著者名/発表者名
      小西清美、冨永ななみ、藤井真悟、浅井 将
    • 学会等名
      日本薬学会第142年会(名古屋)
  • [学会発表] 皮膚エラスターゼの発現および活性制御機構の解析2022

    • 著者名/発表者名
      冨永ななみ、小西清美、日下部竜聖、浅井 将
    • 学会等名
      日本薬学会第142年会(名古屋)
  • [学会発表] ニューロステロイド代謝を介した当帰の抗うつ作用2022

    • 著者名/発表者名
      大村実来、亀卦川真美、苅込裕太、浅井 将、速水耕介、曽根秀子
    • 学会等名
      日本薬学会第142年会(名古屋)
  • [学会発表] 医薬品及び食品成分の安全性評価に適した神経マイクロオルガノイドの作成に関する基盤的研究2022

    • 著者名/発表者名
      本元恒越、大村実来、伊藤智彦、Qin Xiang-Yang、住野彰英、浅井 将、速水、耕介、曽根秀子
    • 学会等名
      幹細胞を用いた化学物質リスク情報共有化コンソーシアムscChemRISC 2022年度年会
  • [学会発表] 神経マイクロオルガノイドを用いたin vitroうつ様モデルの作成と治療効果の検討2022

    • 著者名/発表者名
      大村実来、本元恒越、亀卦川真美、伊藤智彦、浅井 将、速水耕介、曽根秀子
    • 学会等名
      幹細胞を用いた化学物質リスク情報共有化コンソーシアムscChemRISC 2022年度年会
  • [学会発表] 12-O-Tetradecanoylphorbol 13-acetate (TPA)によるSH-SY5Y細胞内BACE1の減少2022

    • 著者名/発表者名
      兼次雅子、長村直弥、荻野暢子、浅井 将、内海文彰
    • 学会等名
      日本薬学会第142年会(名古屋)
  • [学会発表] ダウン症と新型コロナウイルスの相関解析2022

    • 著者名/発表者名
      浅井 将
    • 学会等名
      第5回成人期ダウン症研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 21番染色体に存在する細胞内輸送複合体構成因子に着目したアルツハイマー病治療への応用2021

    • 著者名/発表者名
      浅井 将、酒井裕子、村上 綾、日下部竜聖、冨永ななみ、山本一男
    • 学会等名
      第44回日本小児遺伝学会学術集会・第3回日本ダウン症学会学術集会・第3回日本ダウン症会議
  • [学会発表] Characterization of a developmental toxicant, valproic acid by using the alternative model for chemical toxicity assessment2021

    • 著者名/発表者名
      本元恒越、並木悠美、Qin Xiang-Yang、浅井 将、速水耕介、曽根秀子
    • 学会等名
      幹細胞を用いた化学物質リスク情報共有化コンソーシアムscChemRISC 2021年度年会

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公開日: 2022-12-28  

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