研究課題
1) PIAS1によるHIF-1αのSUMO化修飾機構の解析: 293T細胞に、HA-tagを付加した野生型HIF-1α、若しくはHIF-1αのSUMO化修飾部位変異体(HIF-1α K391/477R:HIF-1αの391番目及び471番目のリシン残基を共にアルギニン残基に置換した変異体)をT7-tagを付加したSUMO-1およびMyc-tagを付加したPIAS1と共に過剰発現させ、免疫沈降およびウェスタンブロット解析を行った。その結果、HIF-1αのSUMO化修飾部位変異体では、野生型HIF-1αと比較してSUMO化修飾の部分的な減少が観察された。このことから、PIAS1は、HIF-1αの既知のSUMO化修飾部位である391番目および477番目リシン残基におけるSUMO化修飾の促進に加え、HIF-1αの未同定のリシン残基におけるSUMO化修飾も促進することが示唆された。2) PIAS1によるHIF-1依存的な転写活性増強機構の解析:293T細胞に、野生型PIAS1、もしくは、SUMO E3リガーゼ活性を欠損したPIAS1 変異体(PIAS1 W372A:PIAS1の372番目のトリプトファン残基をアラニン残基に置換した変異体)を、HA-tagを付加した酸素依存的分解耐性HIF-1α変異体(HIF-1α P402/564A:HIF-1αの402番目及び564番目のプロリン残基を共にアラニン残基に置換した変異体)と共に過剰発現させ、免疫沈降およびウェスタンブロット解析を行い、HIF-1αとヒストンアセチル化酵素p300の結合性に及ぼすPIAS1の影響を解析した。その結果、野生型PIAS1の共発現は、HIF-1αとp300の結合を増強したが、SUMO E3リガーゼ活性欠損PIAS1変異体の共発現では両者の結合を増強しなかった。この結果から、PIAS1は、SUMO化修飾依存的にHIF-1αとp300との結合を促進することで、HIF-1αの転写活性を増強する可能性が示唆された。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
In Vivo
巻: 35 ページ: 2947-2949
10.21873/invivo.12587