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2021 年度 実績報告書

ミクログリアにおけるホスホイノシチドシグナルの病態寄与に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K07080
研究機関東京大学

研究代表者

高鳥 翔  東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (80624361)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードアルツハイマー病 / ミクログリア / ホスホイノシチド / TREM2 / DAP12 / INPP5D
研究実績の概要

ミクログリアの受容体タンパク質TREM2の機能低下型変異がアルツハイマー病(AD)の発症リスクを高めることが知られている。ミクログリアは、ADの原因となるアミロイドβ(Aβ)の凝集・蓄積に応答し集簇することで神経保護的に働き、その機能にはTREM2が必要であるが、その詳細な分子機序は明らかになっていない。本研究では、TREM2下流経路に着目し、特にシグナル脂質のひとつであるホスホイノシチドの病態生理学的役割を明らかにすることを目的とした。
これまでに、ADリスク遺伝子でありミクログリア特異的に発現するホスホイノシチド代謝酵素INPP5DがAβ斑へのミクログリアの集簇を負に制御することを明らかにした。また、前年度にはTREM2とINPP5DがそれぞれホスホイノシチドPI(3,4,5)P3シグナルを正負に制御することを見出していたが、本年度はこれらがミクログリアの細胞外基質に対する接着性を同様に正負に制御していることを明らかにした。このことは、PI(3,4,5)P3によるミクログリアの接着性制御がAβ斑への集簇に重要であることを示唆した。また、ミクログリア集簇の意義を調べるため神経細胞への影響を解析したところ、Inpp5dヘテロ欠損マウスでは斑周囲において神経突起そのものの形成には影響がなかったが、同部位におけるリン酸化タウの蓄積が有意に軽減していた。このことは、ミクログリアの集簇が近傍のタウの病的変化を抑制すること、またミクログリアPI(3,4,5)P3シグナルがこの過程に関わることを示唆した。近年、ADの発症機序においてはAβ蓄積とミクログリアの活性化が協調してタウ蓄積を促進する可能性が指摘されている。本研究成果は、INPP5Dがこの過程を制御する新規因子であり、創薬標的の候補としても有望であることを示唆した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] BORCS6 is involved in the enlargement of lung lamellar bodies in Lrrk2 knockout mice2021

    • 著者名/発表者名
      Miho Araki, Kyohei Ito, Sho Takatori, Genta Ito, Taisuke Tomita
    • 雑誌名

      Human Molecular Genetics

      巻: 30(17) ページ: 1618-1631

    • DOI

      10.1093/hmg/ddab146

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dietary cis-9, trans-11-conjugated linoleic acid reduces amyloid β-protein accumulation and upregulates anti-inflammatory cytokines in an Alzheimer's disease mouse model2021

    • 著者名/発表者名
      Yu Fujita, Kuniyuki Kano, Shigenobu Kishino, Toshihiro Nagao, Xuefeng Shen, Chiharu Sato, Hatsune Hatakeyama, Yume Ota, Sho Niibori, Ayako Nomura, Kota Kikuchi, Wataru Yasuno, Sho Takatori, Kazunori Kikuchi, Yoshitake Sano, Taisuke Tomita, Toshiharu Suzuki, Junken Aoki, Kun Zou, Shunji Natori, Hiroto Komano
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 11(1) ページ: 9749

    • DOI

      10.1038/s41598-021-88870-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] GPR120 signaling controls amyloid-β degrading activity of matrix metalloproteinases2021

    • 著者名/発表者名
      Kazunori Kikuchi, Takuya Tatebe, Yuki Sudo, Miyabishara Yokoyama, Kiwami Kidana, Yung Wen Chiu, Sho Takatori, Makoto Arita, Yukiko Hori, Taisuke Tomita
    • 雑誌名

      Journal of Neuroscience

      巻: 41(28) ページ: 6173-6185

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.2595-20.2021

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Photo-oxygenation by a biocompatible catalyst reduces amyloid-β levels in Alzheimer's disease mice2021

    • 著者名/発表者名
      Ozawa S, Hori Y, Shimizu Y, Taniguchi A, Suzuki T, Wang W, Chiu Y, Koike R, Yokoshima S, Fukuyama T, Takatori S, Sohma Y, Kanai M, Tomita T
    • 雑誌名

      Brain

      巻: 144(6) ページ: 1884-1897

    • DOI

      10.1093/brain/awab058

    • 査読あり
  • [備考] 機能病態学教室ホームページ

    • URL

      https://neuropsc.f.u-tokyo.ac.jp/

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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