研究実績の概要 |
本研究では、がん薬物療法における抗がん薬曝露の実態を調査し、繰り返しモニタリングを行うことで、国内での閾値の設定や予防の根拠となるエビデンスを創出することを目的としている。当院外来化学療法室では、院内すべての点滴抗がん薬の外来投与を専任の医療者が担当している。年間10,000件以上の実施にあたり、職業性曝露のモニタリングとして環境モニタリングと生物学的モニタリングの経年的実施を行う。 <環境モニタリング> 当院外来化学療法室での環境モニタリングを行うにあたり、モニタリングの手法、場所を絞り込んだ後に、抗がん薬曝露予防を目的とした機器導入、マニュアルの改訂・整備の現状を把握できている。閉鎖式薬物移送システム(closed system drug transfer device: CSTD) は、当院において抗がん薬のミキシングすべてには使用していない。揮発性抗がん薬にのみCSTDを使用している。これまでの経年的モニタリング結果では既報と比較して汚染の度合いを示す測定値は低く推移しており、継続してモニタリングを進めている。 <生物学的モニタリング> 外来化学療法室で実施する膀胱内注入後の抗がん薬曝露について、同意を得た患者および医療者の排尿より生物学的モニタリングを行う。ドキソルビシンの投与量、排尿回数など臨床薬理学的解析を加えて経時的変化を観察する予定であったが、昨年度同様、治療対象者が乏しい状況が続いた。 がん関連学会での情報収集を継続し論文作成データを収集し経年的データの検討を行った。
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