研究課題
私たちは新規カンナビノイド受容体GPR55のアゴニスト・リゾホスファチジルイノシトール(LPI)の生理機能や産生機序を解析している。LPI産生の鍵酵素のひとつとして細胞内ホスホリパーゼA1 DDHD1を同定した。DDHD1の活性調節機構を探索する過程で、Phos-tag SDS-PAGEを用いて、DDHD1がリン酸化されることを見出した。MALDI-MS/MSにより、ホスホプロテオミクス解析を行うと、ホスホリパーゼA1(PLA1)DDHD1のリン酸化修飾を解析した。FLAG-DDHD1を発現したHEK293細胞から得た抽出物をPhos-tag SDS-PAGEで解析すると、DDHD1は複数のバンドとして観察され、リン酸化されていることが示された。DDHD1由来のリン酸化ペプチドをMALDI-TOF MS/MSに供したところ、10以上のリン酸化アミノ酸残基の同定に成功した。増殖培地での培養で、4つのセリン残基(S8、S11、S723、S727)が強くリン酸化されることを確認した。そのうち2つのセリン残基をグルタミン酸残基に置換(リン酸化の模倣、S11/727E)すると、PLA1活性が低下したが、その程度は大きなものではなかった。種々のプロテインキナーゼとDDHD1をATPとともにインキュベートすると、CDK1、CDK5、CK2α1の3種類のキナーゼでDDHD1のリン酸化が起こることが分かった。そのうち細胞周期に関与するCDK1/ cyclin A2がDDHD1のS8、S11、S727残基をリン酸化すること、細胞周期や神経変性疾患と関わりが深いCDK5/p35がDDHD1のS11、S727残基をリン酸化することが示された。リン酸化模倣変異体のS11/727Eは細胞内局在が変化し、細胞質から接着点(Focal adhesion)への局在が促進されることが示された。
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