研究課題/領域番号 |
19K07090
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
菅野 裕一朗 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (40453849)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 核内受容体 / 遺伝子発現調節 / 転写共役因子 / 薬物代謝酵素 / 構成的アンドロスタン受容体 / エピジェネティック |
研究実績の概要 |
核内受容体は様々な生理作用に関与し、内分泌疾患、代謝疾患、がんなど様々な疾患に関与していることが明らかとなってきている。核内受容体の生理機能及び 活性の制御機構の解明は、核内受容体を分子標的とした治療薬の開発に非常に重要である。しかしながら、その詳細な遺伝子選択的発現調節機構は未だ明らかでない。また、選択的核内受容体調節薬(SNRM)として作用する医薬品も臨床で使用され、作用機構に遺伝子選択的発現調節が関与していることが示唆されているが、分子メカニズムはほとんど明らかとなっていない。申請者はリガンド依存的な遺伝子選択的発現調節に着目しその分子メカニズムを明らかとするため「核内受容体による選択的遺伝子発現調節は、コファクター、リガンド、標的遺伝子/エンハンサーの3つの因子の相互関係によって決定される」というモデルを提案している。本課題は、そのモデルを立証することを目的としている。 そこで、核内受容体による選択的遺伝子発現調節機構の立証には多様なSNRMを同定し、その作用機構を解明することが重要である。その為に研究協力者より提供された化合物ライブラリーを用いて、核内受容体リガンドスクリーニングを行い新規SNRM候補化合物の同定を行った。その結果、いくつかの新規核内受容体リガンドが同定することができた。新規選択的アンドロゲン調節薬(SARM)として見出したYK11は、培養細胞を用いたレポーターアッセイによるAR依存的な転写活性化評価で内因性リガンドであるDHTの約40%程度の部分アゴニスト作用しか示さなかった。一方で、AR陽性乳がん細胞株においてDHTと異なるmRNA発現誘導パターンを示し、遺伝子選択的な調節薬であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、異動により、前半は多くが研究活動の準備に時間がかかってしまったが、協力を得て後半は順調に再開がすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
分子機構の解析は予定より遅れているが3年目は引き続き当初の予定に多少の変更を加え、核内受容体アンドロゲン受容体(AR)をモデルにした評価が順調に進んでいるのでARをモデルにした核内受容体による選択的遺伝子発現調節機構の解明を目指す。コファクターとARによる転写活性化に対する影響をクロマチン免疫沈降法やレポーターアッセイを用いて評価する。これまでにおこなった選択的核内受容体調節薬候補化合物スクリーングに加え、新たに対象の化合物を加えることが可能となったため、さらにスクリーニングを追加して行うことでより詳細な解析が可能になると考えている。
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