核内受容体は様々な生理作用に関与し、内分泌疾患、代謝疾患、がんなど様々な疾患に関与していることが明らかとなってきている。核内受容体の生理機能及び活性の制御機構の解明は、核内受容体を分子標的とした治療薬の開発に非常に重要である。しかしながら、その詳細な遺伝子選択的発現調節機構は未だ明らかでない。また、選択的核内受容体調節薬(SNRM)として作用する医薬品も臨床で使用され、作用機構に遺伝子選択的発現調節が関与していることが示唆されているが、分子メカニズムはほとんど明らかとなっていない。申請者はリガンド依存的な遺伝子選択的発現調節に着目しその分子メカニズムを明らかとするため「核内受容体による選択的遺伝子発現調節は、コファクター、リガンド、標的遺伝子/エンハンサーの3つの因子の相互関係によって決定される」というモデルを提案している。本課題は、そのモデルを立証することを目的としている。 そこで、リガンドとコファクターの関係を明らかとするために、選択的アンドロゲン受容体調節薬(SARM)結合アンドロゲン受容体特異的結合タンパク質の同定を試みた。RIME法を用いて相互作用タンパク質を同定したところ、いくつかの転写抑制因子として知られるたんぱく質の結合が認められた。そこで、同定したタンパク質に対する影響を明らかとするためにノックダウンをしてアンドロゲン受容体の活性化に対する影響を観察したところ、その影響は標的遺伝子により異なっていた。
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