研究課題/領域番号 |
19K07096
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
結城 幸一 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (80302420)
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研究分担者 |
今道 力敬 旭川医科大学, 医学部, 助教 (00570194) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | プロスタノイド |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、進行すると肝硬変や肝がんの発症リスクが高い。本邦において、NASH 患者は 200 万人以上と推定されているが、十分なエビデンスを持った薬物療法は未だ確立されていない。プロスタノイドは、プロスタグランジン(PG)とトロンボキサン(TX)より成る生理活性脂質であり、各プロスタノイドに特異的な受容体を介して非常に多彩な作用を示す。現在まで、PGD2、PGE2、PGF2α、PGI2、TXA2 の受容体として DP、EP、FP、IP、TP が知られている。本研究では、PGD2受容体DP欠損マウスと、高脂肪食負荷によりヒトNASHに近い表現型を示すメラノコルチン4受容体(MC4R)欠損マウスとを掛け合わせたMC4R/DPダブル欠損マウスを用いて解析を行う。前年度、通常の高脂肪食ではMC4R 欠損マウスと MC4R/DP ダブル欠損マウスとの間に顕著な違いを認められなかったことから、今年度は負荷する高脂肪食をウェスタンダイエットに変更した。さらに、6週間のウェスタンダイエット後に少量の四塩化炭素を投与することによってNASH様病態を呈する短期NASHモデルを使って解析を行った。その結果、四塩化炭素投与1日目の血中トランスアミナーゼ量は、両群とも著明に上昇したが、MC4R/DP ダブル欠損マウスの血中トランスアミナーゼ量は、有意に低値を示した。また肝組織におけるmRNA発現をリアルタイムRT-PCRで解析したところ、CTGFやタイプⅠコラーゲン、タイプⅢコラーゲンといった線維化関連因子のmRNA発現は、MC4R/DP ダブル欠損マウスの肝臓において有意に低値を示した。これらの結果は、PGD2-DP系が、肝線維化に対し促進的に働いていることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験施設の改修および新施設への飼育環境変化により、マウス個体の繁殖が安定しないことと、新型コロナウイルス感染症対策として研究の規模を縮小する必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、MC4R欠損マウスとMC4R/DP欠損マウスを用いて研究を進めていく。PGD2-DP系がどのような因子の発現に関与しているのか、詳細に解析するために、RNA-Seq等も用いて解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症対策のため、大学内での研究が制限されたため。 未使用分については、今年度の研究に組み込んで使用する。
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