研究課題/領域番号 |
19K07099
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
織田 進吾 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (10725534)
|
研究分担者 |
横井 毅 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (70135226)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 肝障害 / エクソソーム / non-coding RNA / microRNA |
研究実績の概要 |
Non-coding RNAを内包するエクソソームは、細胞間コミュニケーションに関与することが知られている。本研究では、エクソソームを介した細胞間コミュニケーションが、肝障害発症に関与するかを明らかにすることを目的とした。Rock阻害剤であるファスジルはエクソソーム放出を阻害することが報告されていることから、初めにその効果を検討した。Balb/cマウスへ四塩化炭素を単回腹腔内投与し急性肝障害を発症させたところ血清エクソソーム数に上昇傾向が認められた。四塩化炭素と同時にファスジル50 mg/kgを単回経口投与したところ、四塩化炭素単独と比べエクソソーム数に低下傾向が認められた。しかしながら、ファスジル投与は四塩化炭素投与による血清ALT値に影響しなかったため、四塩化炭素誘導性急性肝障害に対して影響しないことが示唆された。 続いて、Balb/cマウスへ四塩化炭素を2回/週、4週間投与することで肝線維化モデルを作成し、同時にファスジルを飲水投与した (200 mg/kg/day相当)。肝切片のシリウスレッド染色により軽度の線維化を確認した。しかし、ファスジル併用投与により線維化面積は変動せず、線維化マーカーTGFbeta、Acta2、Col1a1、Desmin mRNA発現量も変動しなかった。さらに肝水酸化プロリン量にも影響しなかった。従って、本実験方法ではファスジルは四塩化炭素誘導性肝線維化に影響しないことが示唆された。エクソソーム放出には複数の因子が関与することから、阻害剤を組み合わせるなどの検討が必要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ファスジルによるエクソソーム放出阻害の効果が限定的であり、線維化への影響を検討することが困難であったため。
|
今後の研究の推進方策 |
エクソソーム放出には複数の因子が関与することが知られる。今後は阻害剤を組み合わせるなどの検討が必要である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究の進行がやや遅れており、使用経費が少なくなったため。 (使用計画) 動物購入費、microRNA測定試薬、薬剤の購入に充てる。
|