研究課題/領域番号 |
19K07101
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
倉内 祐樹 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (70631638)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 頭痛 / 性差 / 脳血流 / 脳温 / 気象病 / 低気圧 |
研究実績の概要 |
頭痛病態の性差の検証について、本年度は気圧変動時の脳血流量変化に着目した検討を行った。実験では、CMOSイメージングデバイスを大脳皮質感覚野領域に設置する手術を行ったC57BL/6Jマウス (8週齢、雄および雌) を用い、自作チャンバー内で低気圧環境(通常気圧より50hPa低い気圧)に暴露し続けた後に再び通常気圧に戻す操作を行った。雄および雌マウス共に低気圧環境下で脳血流量が増加し、通常気圧に戻すことで脳血流量は次第に元の状態に回復した。脳血流変化の増加量ならびに減少量を解析したところ、どちらも雌雄差は認められなかった。しかし、雌マウスでは雄マウスに比べて、低気圧暴露後に神経活動レベルの亢進を反映した一過性の脳血流量増加の回数が上昇する傾向であった。この結果と一致して、雌マウスでは大脳皮質感覚領域のΔFosB陽生細胞数が増加しており、神経活動レベルの亢進が示唆された。 以上の結果から、気圧変動時には、雌マウスは雄マウスよりも神経活動が亢進しやすく、このことが痛み症状の性差の原因である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、気圧変動に着目した頭痛病態の性差について検討し、雌マウスの方が雄マウスに比べて神経活動の変化が起こりやすいという知見が得られた。詳細なメカニズムならびに性差の原因となる因子は捉えられていないが、頭痛病態と神経活動に関するこれまでの知見からターゲットを絞っていくことができる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、頭痛病態の性差を特徴付ける因子を探索するとともに、血流以外のイメージング実験に着手する。頭痛病態の性差を決定づける因子としては、従来研究で頭痛病態と関連の深い因子に着目し、mRNAレベルならびにタンパク質レベルでの解析を進める。また、他のイメージング技術としては、熱電対をベースとしたデバイスの作成に着手して脳温変化の性差を解析し、脳血流、神経活動、バイオマーカーとの相関を明らかにする。
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