研究課題/領域番号 |
19K07102
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
細田 隆介 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20749428)
|
研究分担者 |
堀尾 嘉幸 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30181530)
久野 篤史 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30468079)
岩原 直敏 札幌医科大学, 医学部, 助教 (00613085)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 筋ジストロフィー / マイトファジー / オートファジー / SIRT1 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
Duchenne型筋ジストロフィー (DMD) の病態と障害ミトコンドリアの関連を解明するために実験を行った。 野生型マウスとDMDモデル動物であるmdxマウスの骨格筋機能をグリップテストと反転ネットつかまりテストを用いて比較検討した。野生型マウス、mdxマウスともに3ヶ月齢から測定を行った。3ヶ月齢のmdxマウスにおいてグリップテストと反転ネットつかまりテストで、野生型のマウスと比較して有意に筋力が減弱していることが確認できた。一方で、3か月齢以降のmdxマウスにおいて加齢に伴うさらなる筋力の減弱は見られなかった。また、心エコーもおこなって各年齢の野性型マウスとmdxマウスにおける心機能のデータを得ており現在解析を行っている。 3ヶ月齢、6か月齢、14ヶ月齢マウスの骨格筋を採取して病態の進行にともなって、ミトコンドリアDNAに欠失を持つ障害ミトコンドリアが蓄積しているのか検討した。Long-range PCR法を用いてミトコンドリアDNAの解析をおこなったところ、野生型のマウスと比較して3ヶ月齢、6ヶ月齢、14か月齢のmdxマウスの四頭筋で有意にミトコンドリアDNAに欠失を持つ障害ミトコンドリアが蓄積していることが明らかとなった。一方、3ヶ月齢のmdxマウスと比較して6ヶ月齢と14か月齢のマウスの四頭筋において、障害ミトコンドリアのさらなる蓄積は見られなかった。 Long-range PCRを用いた解析で、mdxマウスの四頭筋と心筋においてミトコンドリアDNAの欠失が確認されたため、ミトコンドリアDNAの欠失部位の同定を目指し、mdxマウスの四頭筋と心筋のミトコンドリアDNAを次世代シーケンサーで解析した。得られたデータからミトコンドリアDNAの欠失部位を見出すため現在検討を重ねている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究申請の予定通り、各月齢におけるmdxマウスの骨格筋機能と骨格筋における障害ミトコンドリアの蓄積をlong-range PCRを用いて評価することができた。また、次世代シーケンサーのデータ解析と並行してmdxマウス骨格筋でのマイトファジー活性とミトコンドリア機能の変化を分子生物学的な手技を用いた解析手法を用いて開始しており、おおむね順調に研究が進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の研究でmdxマウスにおいて筋機能の低下とミトコンドリアDNAに欠失を有する障害ミトコンドリアが増加することを示すことができた。 今後はSIRT1活性化によるマイトファジー活性化メカニズムを明らかとするために、C2C12マウス筋芽細胞を用いて、オートファジーを進めるtranscription factor EB (Tfeb)、オートファジー抑制因子のmTORやマイトファジー実行因子であるPink1やParkinなどの発現量、細胞内局在、アセチル化修飾、SIRT1活性化やノックダウンによる影響を調べる。また、これら結果がSIRT1ノックアウトマウスでも同様であるかを確認する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
マウスの筋力測定に予定していた費用を別の研究費で補うことができたため。また、参加予定であった国際学会が新型コロナウイルスの影響で中止となったため。 次年度使用額はマイトファジー活性とミトコンドリア機能を測定するための試薬購入に充てる予定である。
|