研究課題/領域番号 |
19K07105
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
呉林 なごみ 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (50133335)
|
研究分担者 |
森 修一 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (00467630)
村山 尚 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10230012)
村越 伸行 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80447218)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | リアノジン受容体 / 不整脈 / カルシウム / 筋小胞体 / カテコラミン誘発性多型性心室頻拍 / 心臓 |
研究実績の概要 |
異所性の興奮を起点として発生する心室性不整脈は生命を脅かす重篤な疾患である。慢性心不全に加え、カテコラミン誘発性多型性心室頻拍(CPVT)、QT延長症候群(LQTS)など種々のチャネル病において起こり易い。これらに対し現在β遮断薬、Naチャネル阻害薬、Ca拮抗薬が抗不整脈薬として用いられるが、不整脈を停止できない症例が多く、新規抗不整脈薬が求められている。申請者らは、異所性興奮の始まりが筋小胞体Ca2+遊離チャネルである2型リアノジン受容体(RyR2)からの自発的Ca2+遊離である事に着目し、RyR2を抑制することが抗不整脈作用となると着想した。そこで大規模スクリーニングによる探索を行い、RyR2を特異的に抑制する化合物を20種類ほど見出した。本研究では、申請者らが見出したRyR2特異的な阻害薬が、異所性興奮に起因するとされる様々な不整脈のうちどこまでを抑制出来るかを明らかにすることを目的とする。 2019年度は、スクリーニングから見出した20種類のシーズ化合物について、[3H]リアノジン結合測定によりCa2+依存性や、RyR1、RyR2、RyR3アイソフォーム特異性、親和性等の評価を行った。その一部については、共焦点顕微鏡によるRyR2発現HEK293細胞のCa2+イメージングから急性細胞毒性および自発的Ca2+遊離抑制効果の確認と可逆性を調べた。また、1種類のシーズ化合物を基に構造展開し親和性・効力の高い化合物を合成し、特許出願した。現在、現有の不整脈モデルマウスを用いてRyR2抑制効果の高い化合物の心筋組織や単離心筋細胞に対する作用を調べているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スクリーニングから得られた化合物を基に化学構造最適化を行い、RyR2特異的な化合物を見出し、特許申請を行った点は、予想以上に進捗した点である。 一方、マウスを用いる実験は新型コロナウイルスの影響でラボや施設の使用が制限され、遅れている。全体としてみると、おおむね順調なのではないかと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
スクリーニング用の化合物ライブラリの範囲を広げ、さらに新しい化合物の探索を行う。現在までに開発した特異性の高い化合物については、RyR2のヒト催不整脈変異を持つCPVT変異ノックインマウスを作成し、開発した化合物の効果を確かめる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ノックインマウスの導入を2020年度に持ち越したため、予定していた使用分がやや残った。
|