研究課題/領域番号 |
19K07110
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
前田 定秋 摂南大学, 薬学部, 教授 (00135732)
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研究分担者 |
吉岡 靖啓 摂南大学, 薬学部, 准教授 (40330360)
石丸 侑希 摂南大学, 薬学部, 助教 (80611607)
山室 晶子 摂南大学, 薬学部, 助手 (20340862)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アペリン受容体刺激薬 / 緑内障 / 網膜保護 / 神経保護 / グルタミン酸興奮毒性 |
研究実績の概要 |
緑内障は、視神経細胞である網膜神経節細胞の脱落によって失明に至る眼疾患である。現在、眼圧降下療法が緑内障治療の中心となっているが、全ての患者に奏効しないことから、網膜神経節細胞の脱落を防ぐ網膜神経保護療法の開発が求められている。これまでに我々は、マウスを用いた検討から、Gタンパク質共役型受容体の一つであるAPJが網膜神経節細胞に発現すること、および緑内障の病態進行に関与すると考えられているグルタミン酸興奮毒性によって引き起こされる網膜神経節細胞死に対して、APJの内因性ペプチドリガンドであるアペリンの硝子体内投与が保護作用を示すことを明らかにした。今年度は、この研究成果を発展させ、APJを活性化する低分子化合物を経口投与したときの網膜神経保護効果について検討した。その結果、グルタミン酸興奮毒性を引き起こすN-methyl-D-aspartic acid (NMDA) の硝子体内投与によって誘発される網膜神経節細胞死に対して、APJ刺激薬であるML233の経口投与が用量依存的に保護作用を示した。また、NMDAの硝子体内投与によって引き起こされる網膜のカルパインの活性化は、ML233の投与によって抑制された。さらに、ML233の投与は、網膜において細胞生存促進シグナルとして働くAktの活性化を引き起こした。これらの結果から、NMDA誘発網膜神経節細胞死に対してAPJ刺激薬の経口投与が保護作用を示すことが明らかとなり、APJ刺激薬が緑内障の新たな治療薬となる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
APJ刺激薬が経口投与により網膜神経保護効果を示すこと、及びその機構の一端について明らかにできたことから、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
緑内障における網膜神経節細胞死には、多様な要因が関与すると考えられていることから、他の緑内障モデルで生じる網膜神経節細胞死に対してもAPJ刺激薬が保護作用を示すか否かについて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の支出額が計画当初よりも多くなることが予想されたため。 緑内障モデルマウスの作製・維持、およびアペリン受容体刺激薬の購入費に充当する。
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備考 |
網膜変性疾患による視力低下を強力に抑制する新たな治療薬(イノベーション・ジャパン2019) https://www.jst.go.jp/tt/fair/ij2019/exhibitor/jss20190273.html
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