研究課題
本研究では、脳への効率的かつ非侵襲的な薬物送達法として経鼻投与法を用いて、ドコサヘキサエン酸およびエイコサペンタエン酸(EPA)の活性代謝物であるレゾルビン類の治療抵抗性うつ病に対する治療効果とその作用機序を明らかにすることを目的とする。昨年度、合成副腎皮質ステロイド・プレドニゾロン(PSL)反復投与誘発うつ病モデルマウスに対して、EPA由来のレゾルビンE1(RvE1)の単回側脳室内、mPFC内または経鼻投与により、投与1日後の強制水泳試験においてPSLモデルの抑うつ症状が抑制されることを見出した。また、PSLモデルに対するRvE1経鼻投与の抗うつ作用は、mPFC内ラパマイシン投与により抑制されることを明らかにした。また、リポポリサッカライド(LPS)誘発うつ病モデルマウスに対するレゾルビンE2(RvE2)の腹腔内投与は抗うつ作用を示さなかったが、RvE2安定誘導体o-BZ-RvE2の腹腔内投与が抗うつ作用を示すことを見出した。今年度は、PSL反復投与モデルマウスのうつ病様症状が、三環系抗うつ薬デシプラミンの急性投与では抑制されないことを確認し、本モデルが治療抵抗性うつ病モデルとなる可能性を見出した。本モデルの抑うつ症状は、RvE1を予防的に側脳室内に単回投与しても抑制されたことから、RvE1が治療抵抗性うつ病に対して即効性のうつ病予防・治療効果を示すことが示唆された。o-BZ-RvE2の単回経口投与が、LPSモデルおよび閉経後女性のうつ病を模倣した卵巣摘出(OVX)モデルの抑うつ症状を抑制することを見出した。また、OVXモデルに対するo-BZ-RvE2経口投与の抗うつ作用が、mPFC内mTORC1阻害薬ラパマイシン投与により抑制されたことから、o-BZ-RvE2の抗うつ作用にはmPFC内mTORC1活性化が関与することが示唆された。
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