研究課題/領域番号 |
19K07122
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
長坂 明臣 九州大学, 薬学研究院, 助教 (10723877)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 心肥大 / 心退縮 / Gタンパク質共役型受容体 / DREADD |
研究実績の概要 |
心筋の肥大化には、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を介したシグナルの活性化が強く関与しており、その活性化は、GPCRに共役するGタンパク質ファミリーのG13またはGqによって担われる。この心肥大は心臓への圧負荷がなくなると退縮するが、その退縮メカニズムは全く不明である。近年、DREADD(Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs)システムという、Gタンパク質を介したシグナルのON/OFFを自在に制御できるシステムが開発された。このDREADDシステムを心筋細胞に適用し、G13やGqの活性化のON/OFFを制御すれば、心肥大(活性状態)と心肥大退縮(不活性状態)を自在に作り出すことができると考えた。そこで、DREADDシステムを活用することで、心肥大の退縮を担う分子を探索し、その分子メカニズムの解明を目指した。 当該年度は、DREADDシステムを構築するため、G13タンパク質を介したシグナルをON/OFFを自在に制御する受容体(デザイナー受容体)の作製を試みた。その作製方法は、Gq特異的に共役するデザイナー受容体(Dq受容体)をベースに、G13と共役すると報告がある様々なGPCRの細胞内領域とDq受容体の細胞内領域を組換えることにより、G13特異的に共役するデザイナー受容体(D13受容体)の作製を試みた。その結果、G12/13の下流シグナルを活性化する候補受容体を作製した。今後は、作製した候補受容体がG13シグナルに対して特異性を持つかを検証する。また、in vivoでの評価に向けて準備を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、Gq特異的なデザイナー受容体を改変することにより、G13特異的なデザイナー受容体の作製完了を予定していたが、現時点において、G13特異的なデザイナー受容体の作製途中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、G13特異的なデザイナー受容体(D13受容体)の作製を試みる。具体的には、現時点で、Gqを介したカルシウム応答は引き起こさず、少なくともRhoシグナル経路を活性化すると考えられるデザイナー受容体の作製には成功している。そこで本受容体をベースにさらに遺伝子改変することで、D13受容体の作製を目指す。 それでもD13受容体ができない場合は、Rhoシグナル経路を活性化すると考えられるこの受容体を、「Rhoシグナル特異的なデザイナー受容体(DRho受容体)」として用いる。これまでRhoシグナル特異的に活性化誘導できるデザイナー受容体(DRho受容体)は、一切報告がないことから、DRho受容体を用いた、心肥大や心退縮におけるRhoシグナルの生理的役割の解析を目指す。
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