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2019 年度 実施状況報告書

認知症リスクファクターである加齢性難聴の病態解明と予防薬の創出に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K07131
研究機関摂南大学

研究代表者

荻田 喜代一  摂南大学, 薬学部, 教授 (90169219)

研究分担者 米山 雅紀  摂南大学, 薬学部, 准教授 (00411710)
山口 太郎  摂南大学, 薬学部, 講師 (30710701)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード聴覚障害 / クルクミン / レスベラトロール / クロロゲン酸 / 加齢促進マウス
研究実績の概要

本年度では、まず加齢促進マウスであるSAMP1マウスを用いて聴力の悪化時期、聴力悪化の進行速度について聴性脳幹反応を継続的に測定することにより解析した。その結果、約8週齢から聴力が徐々に悪化し始め、6か月齢になると聴力の悪化が不変期となる傾向がみられた。6か月齢時の組織標本を作製したのち、聴覚伝導路の初段階である内有毛細胞―蝸牛神経間のシナプス数を解析した。その結果、対照群と比較してSAMP1マウスのシナプス数が減少する傾向がみられた。また、本年度では、長期的な実験・解析が必要となるクルクミン(100 mg/kg)、クロロゲン酸(10 mg/kg)、レスベラトロール(50 mg/kg)を飲水(MediDrop sucralose)に溶解し、SAMP1マウスに聴覚障害出現時より継続的に摂取させ、その後の聴力を測定する実験項目を前倒して行った。その結果、SAMP1マウスは、約8週齢からみられる聴力の悪化に対してクルクミン、クロロゲン酸、レスベラトロールはいずれも聴力の悪化を抑制する傾向がみられた。
しかしながら、SAMP1マウスは飼育期間が長くなればなるほど攻撃性が高まり、他のマウスを攻撃することなどによるマウスの突然死が生じ、予定数の実験が遂行できなかった。このため継続して実験・解析を行い、統計学的処理に必要な例数を確保することが要求される。得られた結果は、加齢性難聴の病態を理解するうえで重要な基盤となり、予防薬・サプリメントの開発へ着実に近づくものと期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

SAMP1マウスの攻撃性の亢進によるマウスの突然死が生じたこと、またCOVID-19の拡大による実験の中断あるいは実験規模の縮小を余儀なくされたことによって、当初予定の実験数を遂行できなかった。

今後の研究の推進方策

2019年度遂行項目の例数追加を行い、統計学的な解析を行う。また、当初の予定通り、別の加齢性難聴モデル動物(C57BL/6やDBA/2Jマウス)においても同様の結果が得られるか検証を行う。併せて加齢性難聴の病態解析を炎症マーカーの発現変化を中心に解析する。
SAMP1マウスの攻撃性の亢進は避けられないため、個別飼育ケージにて飼育することで他マウスへの攻撃による突然死を防ぐ。COVID-19の拡大による実験の中断あるいは実験規模の縮小に対する対応策はないが、復帰の目途がつき次第、遅滞なく実験開始できるよう準備を整える。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の感染拡大による実験の中断あるいは実験規模の縮小を余儀なくされたことによって、当初予定の実験数を遂行できなかったため、次年度に繰り越さざるを得なかった。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件)

  • [雑誌論文] Bacopa monnieri (L.) Ameliorates Cognitive Deficits Caused in a Trimethyltin-Induced Neurotoxicity Model Mice.2019

    • 著者名/発表者名
      Hang Thi Nguyet Pham, Sinh Viet Phan, Hong Nguyen Tran, Xuyen Thi Phi, Xoan Thi Le, Khoi Minh Nguyen, Hironori Fujiwara, Masanori Yoneyama, Kiyokazu Ogita, Taro Yamaguchi, Kinzo Matsumoto
    • 雑誌名

      Biological and Pharmaceutical Bulletin

      巻: 42 ページ: 1384-1393

    • DOI

      10.1248/bpb.b19-00288.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] レスベラトロール投与は反復騒音曝露による聴覚障害を軽減する2020

    • 著者名/発表者名
      山口太郎、昌原杏子、米山雅紀、尾中勇祐、荻田喜代一
    • 学会等名
      日本薬学会第140年会
  • [学会発表] 強大音響曝露による蝸牛構成細胞死および聴覚障害におけるp38 MAPKの関与2020

    • 著者名/発表者名
      西垣友紀子、山口太郎、米山雅紀、尾中勇祐、荻田喜代一
    • 学会等名
      日本薬学会第140年会
  • [学会発表] 幼若期のシクロホスファミド急性投与による成熟期の脳機能変化2020

    • 著者名/発表者名
      祝洸太朗、尾中勇祐、樋口美紀、山口太郎、米山雅紀、荻田喜代一
    • 学会等名
      日本薬学会第140年会
  • [学会発表] 蝸牛内マクロファージの活性化は内有毛細胞―蝸牛神経間シナプスを減少させる2019

    • 著者名/発表者名
      山口太郎、米山雅紀、尾中勇祐、荻田喜代一
    • 学会等名
      第135回日本薬理学会近畿部会
  • [学会発表] 腫瘍切除後に認められるうつ様行動におけるプロスタノイドシグナルの関与2019

    • 著者名/発表者名
      尾中勇祐、新谷紀人、吾郷由希夫、中澤敬信、米山雅紀、山口太郎、 橋本均、荻田喜代一
    • 学会等名
      第136回日本薬理学会近畿部会
  • [学会発表] 蝸牛マクロファージの活性化は内有毛細胞-蝸牛神経間のシナプス数を減少させる2019

    • 著者名/発表者名
      山口太郎、米山雅紀、尾中勇祐、荻田喜代一
    • 学会等名
      第136回日本薬理学会近畿部会
  • [学会発表] 反復騒音曝露後の内有毛細胞―蝸牛神経間のシナプス数減少における蝸牛内マクロファージの関与2019

    • 著者名/発表者名
      山口太郎、谷千咲、米山雅紀、尾中勇祐、荻田喜代一
    • 学会等名
      次世代を担う創薬医療薬理シンポジウム2019
  • [学会発表] 成体脳海馬歯状回ニューロン変性後のニューロン新生活性化におけるperoxynitriteの関与2019

    • 著者名/発表者名
      池田美海、米山雅紀、山口太郎、尾中勇祐、荻田喜代一
    • 学会等名
      次世代を担う創薬医療薬理シンポジウム2019
  • [学会発表] 騒音誘発性聴覚障害における蝸牛内オートファジーによる防御機構の関与2019

    • 著者名/発表者名
      中野美穂、米山雅紀、佐藤麻由香、山口太郎、尾中勇祐、荻田喜代一
    • 学会等名
      次世代を担う創薬医療薬理シンポジウム2019
  • [学会発表] 腫瘍切除マウスの海馬におけるミクログリアの形態学的変化2019

    • 著者名/発表者名
      田中優衣、尾中勇祐、新谷紀人、吾郷由希夫、中澤敬信、米山雅紀、山口太郎、橋本均、荻田喜代一
    • 学会等名
      次世代を担う創薬医療薬理シンポジウム2019
  • [学会発表] 成体脳海馬歯状回ニューロン変性後のニューロン新生におけるRho kinaseの関与2019

    • 著者名/発表者名
      米山雅紀、山口太郎、尾中勇祐、荻田喜代一
    • 学会等名
      次世代を担う創薬医療薬理シンポジウム2019

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公開日: 2021-01-27  

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