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2020 年度 実施状況報告書

認知症リスクファクターである加齢性難聴の病態解明と予防薬の創出に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K07131
研究機関摂南大学

研究代表者

荻田 喜代一  摂南大学, 薬学部, 教授 (90169219)

研究分担者 米山 雅紀  摂南大学, 薬学部, 准教授 (00411710)
山口 太郎  摂南大学, 薬学部, 講師 (30710701)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード難聴 / ポリフェノール / クルクミン / レスベラトロール / クロロゲン酸 / 予防薬
研究実績の概要

国際アルツハイマー病会議(2017年7月)において、認知症のリスク因子として、高血圧、糖尿病、肥満、うつ病などとともに、難聴が挙げられている。さらに、近年の国内外の研究では、難聴のために、本来あるべき音の刺激による脳への情報が減少し、神経細胞の活動が抑制され、脳の萎縮を引き起こすことで認知症の発症に大きく影響する可能性が推察されている。これらの背景のもと、本研究では、難聴の発症機序を解明し、それらを阻止する化合物の探索することを目的として感音難聴動物モデルの音響外傷性難聴モデル(ジェット機の爆音のような強大音響を一過性に曝露した動物)および騒音性難聴モデル(地下鉄の走行音程度の騒音を慢性的に曝露した動物)を用いている。前者は突発性難聴を、後者は加齢性難聴、工場やコンサートなどでの慢性的騒音曝露による難聴が模倣できる可能性がある。 音響外傷性難聴モデルを用いて、難聴治療効果を示す化合物を探索したところ、治療薬の候補としては、強力な抗酸化作用を持つ化合物およびカルパイン(カルシウム依存性タンパク質分解酵素)の阻害薬があげられた。しかしながら、現状の研究成果では投与時期や投与法が大きな課題となり、突発性難聴などの治療に資する医薬品の開発は混迷をきわめている。一方、騒音性難聴モデルを用いて、難聴予防効果を示す化合物を探索したところ、ポリフェノール類のクルクミン(ウコンの含有成分、4)、クロロゲン酸(コーヒー豆の含有成分、5)、レスベラトロール(ブドウの果皮、赤ワインの含有成分)が有用であることを明らかとした。これらのポリフェノール類はいずれも抗酸化作用を示すが、同様に抗酸化作用を有するカテキンには難聴予防効果がみられないことを明らかにした。また、コンドロイチン硫酸が難聴を予防し得る結果も得られている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍の影響により実験施設の利用制限があったため、実験の遂行が遅れている。

今後の研究の推進方策

2021年度は、SAMP1マウスおよびC57BL6マウスでみられたクルクミン(100 mg/kg)、クロロゲン酸(10 mg/kg)、レスベラトロール(50 mg/kg)の内耳保護効果の薬理学的作用を解析する。①SAMP1マウスでは炎症性サイトカインであるIL-1βが持続的に増加していることから、IL-1βシグナルの阻害薬等を用いて、経時的に聴力を測定し内耳保護効果の有無について検証する(分担者:山口)②上記における組織学的評価として、内・外有毛細部数や内有毛細胞―蝸牛神経間シナプス数、神経細胞数についてホールマウント蝸牛および組織切片を用いて、免疫組織化学法により解析を進める(分担者:米山)。これら検討結果を総括し、学会発表、論文作成を行う(代表者:荻田)。代表者と分担者は、オンラインでの定期的な情報共有により、実験・解析を効率よく実施し、十分な議論の上、研究を遂行する。

次年度使用額が生じた理由

今年度に実施できなかった実験に次年度分として活用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Bacopa monnieri (L.) Wettst. Extract Improves Memory Performance via Promotion of Neurogenesis in the Hippocampal Dentate Gyrus of Adolescent Mice.2020

    • 著者名/発表者名
      1.Pham HTN, Tran HN, Nguyen PT, Le XT, Nguyen KM, Phan SV, Yoneyama M, Ogita K, Yamaguchi T, Folk WR, Yamaguchi M, Matsumoto K.
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 21 ページ: 3365

    • DOI

      10.3390/ijms21093365

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2021-12-27  

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