研究課題/領域番号 |
19K07135
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
河原 哲平 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 特任准教授 (80822824)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 干潟 / 放線菌 / 統計学的手法 / 単離・構造決定 |
研究実績の概要 |
九州西岸部の大型閉鎖性内湾には日本最大の干潟が発達する。干潟はかつては無用の地とされてきたが、独自の生態系と多様な微生物叢が知られており、本研究では、これまでに蓄積したノウハウを駆使して構築が可能となった「培養-サンプル作製―メタボローム解析」のライン高速化システムを活用して干潟微生物が創薬研究の新しい探索源となりうるのかを評価する。 今年度は評価対象とするサンプル数を大幅に増大させ、現在は干潟放線菌が600株、土壌放線菌が600株を保有しており、培養サンプルのライブラリー保有数は5,000を超える。 これらのサンプルはHIV、腎疾患、アミロイド病といったアンメットメディカルニーズの高い疾患スクリーニングに随時提供しているが、着実に結果を出しておりポジティブサンプルについては活性化合物の同定を行ってりうところである。 また一方で、干潟微生物の二次代謝産物についてケミカルスクリーニングによる解析を進めているが、本ライブラリーの中には構造新規と予想される化合物が数多く存在することが明らかになってきており、各ピークの分子量、極性、UV吸収などからも十分に高い多様性がみられた。ケミカルスクリーニングで発見した熊本県宇城市の干潟由来の放線菌から得られた ukixanthomycin A については、Heterocycle誌に発表された。現在は他の放線菌からの探索も進めており、いくつかの単離化合物について構造解析を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では令和2年度は微生物ブロスライブラリーを4,000サンプル構築する予定であったが、合計5,000サンプル以上が構築された。ケミカルスクリーニングによる新規化合物探索研究では、熊本県宇城市の干潟土壌から分離されたHGMA004株が生産する新規化合物 Ukixanthomycin A について論文公表した。また、干潟のカビから2つの新規化合物について論文発表や学会発表を行った。以上のことから、十分に研究計画の内容を実現できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
培養ライブラリーの充実化に伴い、UPLCーMS解析で発見した新規化合物と予想されるピークの数も順調に増えている。これらのピークについて、順次、培養と化合物の単離精製、構造解析を行い化学構造を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定した物品について、コロナウイルス感染症対策等による製品の遅れが生じ、納品が年度内に間に合わなかったため、次年度以降に活用する。
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