研究実績の概要 |
研究室で所有する海洋由来真菌を,ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤5種(N-hydroxy-N’-phenyloctanediamide,splitomicin,nicotinamide ,4-phenylbutyrate,sodium valproate)それぞれを添加したPGYもしくはPDA培地で,27℃,21日間,暗所で静置培養を行った.培地は酢酸エチルで,菌体はクロロホルムとメタノールで順次抽出した.得られたエキスをTLCとLC/MSで分析することで,新たに産生された化合物を評価した.その結果,いくつかの菌とHDAC阻害剤の組み合わせで培養して得たエキスに新たな化合物の産生が認められた.また,アミロイドβ(Aβ)凝集抑制活性,BACE1阻害活性が認められているキノコ子実体から活性成分の探索を行い,新規化合物を含む活性成分の単離,構造決定を行った.これらキノコ子実体に海洋由来真菌を播種し,発酵を行うことによる新たな化合物生産を試みたところ,新たな化合物生産が認められた.今後新たに産生された化合物のAβ凝集抑制活性とBACE1阻害を評価する. サボテン科植物Stenocereus pruinosus(朝霧閣)から,新規サポニン6種を含む計9種のサポニンを単離し,構造を明らかにした.これらのAβ凝集抑制活性とBACE1阻害を評価した結果,2種の新規サポニン(chichipenoside Dとstenoside A)に弱いながらもAβ凝集抑制活性を見いだした.また,S. eruca(入鹿)からは,既に単離報告している17種のサポニンに加え,今回新たに単離した2種の新規サポニン(treleaseside D, E)のうち,量的に評価可能であった7種のサポニンのAβ凝集抑制活性を検討した結果,treleaseside Eに弱い活性が認められた.
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