バーコードシークエンス法により、約4000株の遺伝子破壊出芽酵母株からカンゾウ、オウレン、オウゴンエキスに高感受性を示す破壊株を選抜した。ノックアウト酵母クローンコレクションを、各生薬エキスにより増殖速度が70%となる濃度(サブリーサル濃度)とそれより低い濃度の最低2点で処理し、サブリーサル濃度におけるz-scoreが-2以下に変動しているものを抽出した。その結果、カンゾウ、オウレン、オウゴンエキスで、それぞれ55株、22株、51株が有意に抑制され、そのうち既知の代表的な化合物や薬剤に対する薬剤耐性関連遺伝子株は、それぞれ1株、1株、2株であった。このことから、これらの生薬エキスは、代表的な薬剤とは異なる経路に広く作用していることが示唆された。次にGene Ontology Slim Termを使って、解析によって抽出された高感受性株において破壊されている遺伝子をBiological Process (BP)、Cellular Component (CC)、Molecular Function (MF)の3つのカテゴリーについて評価した。カンゾウは、BP:60、CC:14、MF:22、オウレンは、BP:29、CC:12、MF:8、オウゴンは、BP:56、CC:15、MF:25の項目にそれぞれ分類された。さらに各エキスにおいてBP、CC、MFの項目は多様で、エキス間の相同性は低かった。以上の結果はから、各生薬エキスの高感受性株の遺伝子の機能は多岐にわたり、また生薬エキスにより特徴的であることが示された。また、エキス中での生薬成分の真の標的分子を明らかにするために、カンゾウに含まれるホルモノネチンおよびグリチルリチン酸に対する特異的モノクローナル抗体をツールとした新規アッセイ法を確立した。
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