研究課題/領域番号 |
19K07147
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
木下 英司 広島大学, 医系科学研究科(薬), 准教授 (80304418)
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研究分担者 |
江口 陽子 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (30757422)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フォスタグ / リン酸化タンパク質 / ヒスチジンキナーゼ / ヒスチジンキナーゼ阻害剤 / waldiomycin / Phos-tag Aqua / ドットブロット法 |
研究実績の概要 |
昨年度,研究代表者はフォスタグに蛍光分子を標識した蛍光フォスタグを合成し,これをリン酸化タンパク質検出のための蛍光ゲル染色剤として発展させた。当該年度は,これをリン酸化タンパク質の膜上リン酸化プロファイリングに応用した。 先ず,市販の抗リン酸化His抗体を用いて,リン酸化ヒスチジンタンパク質がブロット膜上で検出可能か否かを検討した。幾つかのヒスチジンキナーゼの自己リン酸化反応液を電気泳動で分離した後,抗リン酸化His抗体を用いたウェスタン解析を行った。その結果,いずれにおいても,自己リン酸化反応後にECLシグナルの増強を確認した。また,ドットブロット法による,ヒスチジンキナーゼの阻害剤プロファイリングにも応用できることを確認した。このことより,リン酸化ヒスチジンタンパク質がブロット膜上においても問題なく検出できることを証明した。 次に,フォスタグ蛍光ゲル染色剤の1つであるPhos-tag Aquaを用いてブロット膜上のリン酸化タンパク質の検出を試みた。様々な標準リン酸化タンパク質とそれらを脱リン酸化させた試料をブロット膜上で染色した結果,リン酸化タンパク質を特異的に検出できることを確認した。また,チロシンキナーゼABLの阻害剤プロファイリングも可能であった。この結果から, Phos-tag Aquaを用いることで,リン酸化タンパク質を簡便に定量解析できるドットブロット法に応用できることが示された。さらに,ヒスチジンキナーゼであるEnvZとレスポンスレギュレーターであるArcAの自己リン酸化反応液をドットブロットし,Phos-tag Aquaで染色した結果,反応後の試料において強い蛍光シグナルを検出した。以上のことより,この蛍光フォスタグをブロット膜上のリン酸化タンパク質染色剤として応用し,リン酸化タンパク質の膜上リン酸化プロファイリングが可能であることを証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度においては,当初の予定通り,フォスタグに蛍光分子を標識した蛍光フォスタグPhos-tag Aquaを合成し,この蛍光フォスタグをブロット膜染色剤として応用することで,リン酸化タンパク質の膜上リン酸化プロファイリングに応用できるかどうかを評価することができた。新たに開発した蛍光フォスタグPhos-tag Aquaは,ブロット膜上の標準リン酸化タンパク質を特異的に検出できるだけではなく,タンパク質キナーゼの阻害剤プロファイリング等の定量解析を容易に可能にするドットブロット法に応用できることを証明することができた。さらには,リン酸化物として極めて不安定なリン酸化ヒスチジンタンパク質やリン酸化アスパラギン酸タンパク質のドットブロット検出にも応用できることを証明することができた。よって,今後のスループット性を取り入れたアッセイ系の開発にも期待ができる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はスループット性の追求を主目的とする。多検体を一度に検査できるアレイフォーマットのヒスチジンキナーゼアッセイ法を構築し,従来の電気泳動法を凌駕する創薬を指向した世界初の実用的な阻害剤プロファイリング法を創造する。例えば,PVDF 膜上でドットブロットしたサンプルを解析できるようなアッセイ法が構築できれば,それはハイスループットスクリーニング法のプロトタイプに成り得る。電気泳動では1枚のゲルで 20 検体ほどしか検査できないが,PVDF 膜にキナーゼアッセイ反応液をブロットする方法であれば,ドットブロッターを用いて 96-384 検体を一度に検査することも可能である。このようなハイスループットスクリーニングを目指したプロトタイプのアッセイ法を開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費や謝金に予定していた予算が削減でき,次年度使用額が生じた。さらに研究が展開されるので,旅費や謝金に大いに活用させていただき,研究を効率よく進めるとともに,本研究の成果を広く発信できるように努めたい。
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