研究課題
研究代表者はフォスタグに蛍光分子を標識した蛍光フォスタグを合成し,これをリン酸化タンパク質検出のための蛍光ゲル染色剤として発展させ,リン酸化タンパク質の膜上リン酸化プロファイリングに応用した。先ず,市販の抗リン酸化His抗体を用いて,リン酸化ヒスチジンタンパク質がブロット膜上で検出可能か否か検討した。幾つかのヒスチジンキナーゼの自己リン酸化反応液を電気泳動で分離後,抗リン酸化His抗体を用いたウェスタン解析を行った。その結果,いずれにおいても,自己リン酸化反応後にECLシグナルの増強を確認した。また,ドットブロット法による,ヒスチジンキナーゼの阻害剤プロファイリングにも応用できることを確認した。このことより,リン酸化ヒスチジンタンパク質がブロット膜上においても問題なく検出できることを証明した。次に,フォスタグ蛍光ゲル染色剤の1つであるPhos-tag Aquaを用いてブロット膜上のリン酸化タンパク質の検出を試みた。様々な標準リン酸化タンパク質とそれらを脱リン酸化させた試料をブロット膜上で染色した結果,リン酸化タンパク質を特異的に検出できることを確認した。Phos-tag Aquaは水溶性であるため、疎水性膜であるPVDF膜への非特異的結合が抑えられ,良好なS/N比でリン酸化タンパク質を検出できる。リン酸化タンパク質である卵白アルブミンにおいて,数ngオーダーの範囲で定量的な検出が可能である。また,Phos-tag Aquaによるプロービングは1時間以内の操作であり,検出試薬を必要とせず,蛍光スキャナーで検出が行えるので非常に簡便である。さらに,ドットブロット法はドットブロッターや自動分注機器を用いると,容易に96あるいは384フォーマットの多検体スクリーニングに適用できる。これらのことから,本法は,ヒスチジンキナーゼにおけるハイスループットアッセイに適用できると考えている。
Phos-tag SDS-PAGEデータ集http://phostag.hiroshima-u.ac.jp/
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