研究課題/領域番号 |
19K07157
|
研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
山崎 洋子 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 沼津支所, 上級研究員 (80342690)
|
研究分担者 |
百瀬 功 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 沼津支所, 主席研究員 (10270547)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | c-Myc / 合成致死 |
研究実績の概要 |
本年度は引き続き探索研究を継続し、約1500種類の放線菌培養液および160種類の冬虫夏草培養液についてc-Myc発現に依存した細胞毒性を指標にスクリーニングを行った。今回は新たに数種の微生物代謝産物がヒットしたが、現段階でヒットしている2つの化合物よりもc-Mycとの合成致死作用が低かったため、精製を進めるには至らなかった。 昨年度見いだしたヒット化合物Xにおいてはスクリーニングで使用していたヒト乳がん細胞株Hs578Tで治療実験を行う予定であったが、Hs578Tがマウス(BALB/nu-nu)に腫瘍形成できなかった。そこでHs578Tを再購入して再度移植実験を行なったが、同様にHs578TはBALB/nu-nuで腫瘍を形成しなかった。そこで、高度免疫不全マウスであるNOD-SCIDマウスを使用し再度造腫瘍性試験を試みたが、同様にHs578TはNOD-SCIDにおいても腫瘍を形成できなかった。 そこで、ヒット化合物Xのマウスにおける抗腫瘍性を評価するため、約50種類のがん細胞株を用いてXのin vitroにおける薬剤感受性を評価した。その結果、Xは卵巣がん細胞株においてc-Myc高発現細胞株であるヒト乳がん細胞株MCF-7と同等の薬剤感受性を示すことが明らかになった。また、これらの卵巣細胞株のc-Myc量をMCF-7と比較したところ、同レベルのc-Mycの高発現を確認することができた。そこで、SK-OV-3、SK-OV-4、SK-OV-5、SK-OV-8、SKOV-3の5種類のヒト卵巣がん細胞株の造腫瘍性をBALB/nu-nuマウスを用いて解析した。その結果、SK-OV-5がBALB/nu-nuに明らかな造腫瘍性を示したので、今後SK-OV-5を用いたxenograftモデルにおいてXの抗腫瘍活性を評価する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
探索研究の結果、in vitroにおいて強いc-Myc依存性の細胞毒性を示す2種類の低分子化合物を発見することができたが、マウスにおける抗腫瘍活性を評価することがまだできていない。今後は、xenograftモデルで使用可能なヒト卵巣がん細胞株SK-OV-5を用いた解析を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は探索研究を行わず、ヒットした2化合物についてマウスにおける抗腫瘍性を解析する予定である。 ヒット化合物についてマウスを用いた薬物動態試験を行う。生体試料からの分離方法を検討し、RI非標識化合物で分析をする予定である。その結果から投与ルート、投与スケジュールを決定して、マウスにおける抗腫瘍活性を評価する。 またより高い抗がん活性を目指して合成展開を行う予定であり、誘導体についてin vitroにおけるc-Myc発現に依存した細胞毒性試験を行い、有望な化合物についてはマウスにおける高次評価を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究で発見した低分子化合物のマウスにおける抗腫瘍効果の評価を継続するために研究期間を1年延長した。
|