研究実績の概要 |
本研究では、消化管や BBB にて薬物の細胞膜透過性を制御する重要な機能蛋白質である P-gp, BCRP, OATP, PEPT1 に着目し、消化管障害モデルラットの小腸組織、脳毛細血管組織におけるそれらの発現量に対する抗がん剤曝露の影響を明らかにし、また、これらのトランスポーターの代表的基質の消化管吸収および中枢移行性を定量的に解析することを目的に検討を行っている。 本年度は、これまでに、各種トランスポーター(OATP1A2、OATP2B1、P-gp)の標的ペプチドの LC-MSMS を用いた絶対定量法を確立した。実際、OATP1A2 および 2B1 発現 HEK293 細胞株ならびに肝臓がん由来細胞株 HEPG2、大腸がん由来細胞株 Caco-2, LS180 などを蛋白消化し、各種処理方法を検討した結果、その発現量を定量することができた。また、本定量法の指標とした Na-K ATPase 発現量は、既報とほぼ同等にすべての細胞株で発現が確認されたことから、本定量法は十分に今後の検討に有用であると考える。また、これら細胞株に 5-FU を暴露した際のの mRNA 発現量の変化を評価した。 一方で、イリノテカン暴露モデルラットの作出は終了した。実際、イリノテカンを尾静脈から連続投与した結果、これまで観察されている便数や便の形状、小腸組織スライス切片を確認したところ、消化管障害が発現していることが確認された。
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