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2020 年度 実施状況報告書

血清由来エクソソーム含有低~中分子の定性・定量と統合失調症リスク診断への展開

研究課題

研究課題/領域番号 19K07175
研究機関東邦大学

研究代表者

小野里 磨優  東邦大学, 薬学部, 講師 (50610094)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードエクソソーム / 血清 / チオール化合物 / アミノ酸 / LC-MS/MS
研究実績の概要

(1) ヒト血清から市販のエクソソーム抽出キットを用いて単離・回収したエクソソーム画分には、ヒト血清と同様に、ホモシステイン、システイン、グルタチオン、γ-グルタミルシステインが含まれていることを明らかにした。エクソソーム画分内におけるそれらの組成比は、血清中における組成比と同様であった。これらの成果をまとめた英文原著論文が受理された (J Chromatogr Sci. 58: 636-640, 2020)。
(2) 当教室においてデザイン・開発されたLC/MS用誘導体化試薬 COXA-OSuは、COXA標識アミノ酸の安定性が乏しいという欠点があった。そこで、COXA標識体の不安定性の原因となっているオキサゾリジノン構造を、より安定なイミダゾリジノンに変換した新規化合物CIMa-OSuを合成したところ、安定性が改善された。加えて、CIMa-OSu標識アミノ酸の開裂パターンの検討より、1級アミン標識体でのみ [M-H] > [M-H-43] および [M-H-194] が生じ、既存のCOXA-OSuと同様のMS開裂の特徴が見られた。また、D-SerやD-Alaなどの微量D-アミノ酸も同時に定量が可能であった。さらに、CIMa-標識体を検出したクロマトグラムと、1級アミン特異的に検出([M-H] > [M-H-194])した両クロマトグラムを比較することでL-Pro等の2級アミン標識体のピークを容易に識別できた。本成果を論文投稿し、審査中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1) SBD-Fによる誘導体化に続くLC-MS/MS測定により、エクソソーム画分中に存在するペプチド(グルタチオン、γ-グルタミルシステイン)を検出できた。
(2) 標識体の安定性の向上のみでなく、2級アミンを識別できる特性を持つ誘導体化試薬を開発できた。

今後の研究の推進方策

ヒト血清より、市販キットを用いてエクソソーム顆粒画分を単離し、メタノール添加によりエクソソームの膜を破壊してから、CIMa-OSuによる誘導体化反応をした後、現行のLC-MS/MSもしくは超高速液体クロマトグラフィー-高分解能質量分析計(UHPLC-HRMS)による分析を実施する。
D-およびL-アミノ酸組成を血清vs.エクソソームで比較解析し、エクソソーム特有の濃度の高い物質を見出す。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画よりも、実際には試薬や消耗品を安価に購入できたため。
エクソソーム抽出キットや測定に使用するカラム、溶媒などを購入する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] LC-MS/MS analysis of thiol-containing amino acids in exosomal fraction of serum.2020

    • 著者名/発表者名
      Onozato M, Kobata K, Sakamoto T, Ichiba H, Fukushima T
    • 雑誌名

      J Chromatogr Sci.

      巻: 58 ページ: 636-640

    • DOI

      10.1093/chromsci/bmaa028.

    • 査読あり
  • [学会発表] タンデム型質量分析計により1級アミン構造を識別する4-イミダゾリジノン型試薬の創製と味噌成分アミノ酸分析への応用2021

    • 著者名/発表者名
      坂本 達弥、小野里 磨優、植草 秀介、一場 秀章、海野 真帆、白尾 美佳、福島 健
    • 学会等名
      日本薬学会第141年会
  • [備考] 東邦大学薬学部薬品分析学教室

    • URL

      https://www.lab.toho-u.ac.jp/phar/Analchem/index.html

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公開日: 2021-12-27  

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