研究課題/領域番号 |
19K07179
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
藤阪 保仁 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (50411369)
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研究分担者 |
朝日 通雄 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10397614)
友田 紀一郎 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50362843)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヒトiPS細胞 / 分子標的治療薬 / 肝細胞 |
研究実績の概要 |
近年の癌治療薬の進歩で、がん患者の予後は確実に向上し、進行がんであっても長期生存が現実のものとなってきた。それゆえ、効果的な薬剤を副作用が理由で投与出来なくなる状況は看過できず、副作用発症メカニズムの解析は非常に重要となってきた。本研究は、非小細胞肺がんのキードラッグである分子標的治療薬ゲフィチニブの引き起こす数多くの副作用の中でも特に臨床上問題となる肝機能障害を取り上げ、そのメカニズムを解明することを目的とする。
方法として、ゲフィチニブの投与により肝機能障害を発症した患者からiPS細胞の樹立を試みた。コントロールとして同じ治療薬によって肝障害を起こさなかった患者からもiPS細胞を作製し、樹立したiPS細胞から肝細胞様細胞(Hepatocyte-like cells, HLCs)を分化誘導した。ゲフィチニブ投与により肝機能障害を発症した患者由来のHLCsは、発症しなかった患者由来のHLCsに比し、ゲフィチニブ投与により培地中の乳酸脱水素酵素(LDH)量が顕著に増加した。臨床所見と一致することから、ゲフィチニブの肝機能障害のin vitroモデルとして使用できると考えられる。現在、肝機能障害発症のメカニズムを解明するため、両HLCsの違いを遺伝子やタンパク質発現の変化などに注目して解析中である。
以上、2019年度は、ヒトiPS細胞を用いてゲフィチニブの肝機能障害のin vitroモデルの樹立に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトiPS細胞を用いたゲフィチニブの肝機能障害のin vitroモデルの樹立が比較的順調であったため。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトiPS細胞を用いてゲフィチニブの肝機能障害のin vitroモデルの樹立に成功した。このモデルを用いて肝機能障害発症メカニズム解明や副作用予測に使えるマーカー遺伝子の探索、副作用を軽減する薬剤のスクリーニングに繋がる可能性がある。
今後、肝機能障害発症のメカニズムを解明するため、HLCsの違いを遺伝子やタンパク質発現の変化などに注目して解析中であり、その成果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は若干の次年度使用額が生じたが、令和2年度の研究費とあわせて、樹立したiPS細胞から肝細胞様細胞(Hepatocyte-like cells, HLCs)を分化誘導に係る試薬購入に用いる予定である。
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