研究課題/領域番号 |
19K07182
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
田山 剛崇 広島国際大学, 薬学部, 准教授 (80389121)
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研究分担者 |
佐能 正剛 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (00552267)
杉原 数美 広島国際大学, 薬学部, 教授 (20271067)
岡村 友理香 広島国際大学, 医療栄養学部, 助教 (20645890)
太田 茂 広島大学, 医系科学研究科(薬), 名誉教授 (60160503)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高尿酸血症 / キサンチンオキシダーゼ |
研究実績の概要 |
高尿酸血症の初期治療として、食事・運動指導が行われている。患者は一定期間これらの指導に従うが、時間の経過とともに、制限のストレスを招き、治療に失敗するケースも多い。高尿酸血症の一因として、尿酸の過剰生産がある。尿酸の前駆物質であるxanthineは、xanthine oxidoreductase (XOR)にて尿酸へと酸化代謝される。高尿酸血症の治療を行う上で、XOR活性が高い時間帯にプリン体の摂取を控えるなどの患者個々の酵素活性に応じた生活リズムの改善が合理的である。本研究は、簡便な方法にて、患者個々のXOR活性およびその時間位相を確認し、高尿酸血症を是正する生活指導情報を薬局に提供することを目標としている。 XORにはXO(xanthine oxidase)構造およびXOと同一のアミノ酸配列を有するが補酵素を必要とするXDH(xanthine dehydrogenase)構造の双方を含むことが知られている。ラット肝より作製したcytosol画分中のXO活性およびXDH活性を評価した。XDH活性はXO活性の5倍程度高値を示した。また、XDH活性においてAM群はPM群に比して高値を示した。一方、XO活性において有意な差が認められなかった。日内変動の要因として血清成分およびXOR合成酵素の変動を考えたが、いずれも影響因子ではなかった。次に、XO構造とXDH構造の存在比に注目し、7.5%アクリルアミドゲルを用いてXOタンパク発現量とXDHタンパク発現量を検討した。その結果、XDHタンパク発現量においてはAM群がPM群に比して高発現傾向にあった。一方、XOにおいては有意な差を認めなかった。これらのことよりXORの日内変動を及ぼす影響として、XO構造とXDH構造の存在比が影響している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を遂行する上でxanthine oxidoreductase (XOR)活性の正確な日内変動を測定することがキーポイントとなる。これまで、ラットを用いた日内変動の検討において、日内変動が存在することを確認した。日内変動の要因として、XOとXORタンパク発現量の割合の変化が考えられることも明らかにしている。従って、おおむね順調に研究が遂行していると考える。 一方、尿を用いた簡便なXOR活性測定において、尿酸やキサンチンの発色の程度が不十分であるため半測定方法の十分な確立に至っていない。簡便な半定量方法の確立も、本研究を遂行してうえで、簡便な定量方法の確立も重要である。今後は、より鮮明な発色方法について考えていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度に引続きより、XOR活性の日内変動を検討する予定である。特に、より高活性を示したXDHを優先的に検討を行いたい。また、in vivo実験において、ラットにcaffeine (尿中排泄されたcaffeineの代謝物よりXOR活性を推定するprobe薬)を投与した結果、午前中にXORが高値を示した。In vitro実験とin vivo実験において、XOR活性の時間位相が観察された。この時間の位相の要因についても明らかにし、ヒトにおける食事のタイミングを検討していきたい。 また、尿を用いた簡便なXOR活性測定において、尿酸やキサンチンの発色の程度が不十分であるため半測定方法の十分な確立に至っていない。今後は、より鮮明な発色方法についても併せて検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、ラットを用いて基礎的な検討を行った。その結果、in vivoとin vitroにおいて相違が認められた。その要因として、ラットが夜行性動物であることが考えられる。次年度以降、ヒトにおける代謝酵素の日内変動を検討する費用が必要である。。また、簡便な代謝酵素活性の推定法を確立する費用も必要となる。
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