研究実績の概要 |
前年度、meloxicamの誘導体については、新規化合物を含んだ国内特許を出願することができた。今年度は、さらに有望な新規化合物を、MPTP誘発パーキンソン病マウスモデルで評価を行った。その結果、細胞系でも高い神経細胞死抑制作用を有する新規化合物を2つ得ることができた。これらの化合物は、meloxicamよりも低い投与量(3mg/㎏経口投与, 1日2回, 15日間)で行動薬理学的にPole testで有意な薬効が見出された。このモデルにおいて、行動異常の改善が、パーキンソン病で変性する中脳ドパミン神経細胞の細胞死抑制によって起こっていることを確認するために、そのマーカー分子であるTyrosine hydroxylase(TH)量を測定したところ、化合物投与群でMPTPによるTH減少を有意に抑制していた。これらの結果は、人でのパーキンソン病において有効である可能性を示唆し、今後の創薬展開の上で重要な中心的化合物となると考えられた。これら誘導体の神経細胞死抑制作用は、PI3K/Aktの活性保持作用に基づくものだが、市販されているゾニサミドにもその作用があるという報告があったため、ドパミン神経線維芽細胞SH-SY5YのMPP+誘発細胞死系でその細胞死抑制活性を比較したところ、ゾニサミドの活性より我々の新規化合物の方が、はるかに細胞死抑制活性が高いことが明らかとなった。さらに、これらの化合物は、meloxicamよりも脳内移行性が高く、薬物動態上も有望な化合物と考えられた。これらの情報を追加して、国際特許PCT出願を行った。
|