研究課題
基盤研究(C)
非定型抗精神病薬であるパリペリドンをラットに単回静脈内投与したところ、血糖値上昇が認められた。さらに、血糖値上昇にかかわる内因性物質であるアドレナリンも上昇した。β遮断薬であるプロプラノロールをパリペリドンと併用投与したところ、プロプラノロールはパリペリドンによる血糖値上昇を完全に抑制した。以上の結果より、パリペリドン単回投与による血糖値上昇は、アドレナリンが関与していることを明らかにした。
医療薬剤学
薬物により引き起こされる高血糖や低血糖は、患者の生命にも関わる重大な副作用であり、これらの血糖値異常の副作用が、臨床使用の妨げとなる薬物も少なくない。これらの薬物を安全に使用するためには、血糖値異常のメカニズムの全容を明らかにし、個別の患者における血糖値異常の予測や予防法の開発につなげることである。本研究により、非定型抗精神病薬による血糖値異常のメカニズムを明らかにすることができ、今後の薬物療法の安全性の向上に大きく貢献するものと期待される。