研究課題/領域番号 |
19K07197
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 邦彦 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (90221770)
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研究分担者 |
井上 和幸 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (90514589)
辻 大樹 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (90565615)
平井 啓太 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (30740203)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | CSPG4 / がん関連抗原 / 自己抗体 / がん診断・予後モニタリング / 乳がん |
研究実績の概要 |
最終年度にあたる令和3年度は、がん患者血清中の抗CSPG4自己抗体レベルを、昨年度確立したサンドイッチELISA法で測定するとともに、CSPG4陽性細胞を用いた間接蛍光抗体法により確認した。 がん患者及び非がん疾患患者血清試料は、東大医科研バイオバンクより有償分与された。がん種として、肺がん、胃がん、大腸・直腸がん、肝がん、膵がん、乳がん、子宮頸がん、卵巣がん、造血器腫瘍の9種類、非がん疾患は関節リウマチを選択した。本研究では、抗CSPG4自己抗体が上昇するがん種を見いだすことを目的としたので、ステージIV以上あるいは手術不能の末期がん患者血清10例ずつを測定した。また、静岡県立大学研究倫理審査委員会及び東大医科研バイオバンク倫理審査委員会の承認を得た上で実施した。 その結果、乳がん80%、子宮頸がん60%と高い陽性率であった。その他のがん腫では卵巣がん40%、肺がん、大腸・直腸がん、膵がん、造血器腫瘍30%、肝がん20%、胃がん0%であった。関節リウマチ患者は0%であった。我々は、CSPG4を指標とした免疫組織化学についても検討しており、これまでに悪性黒色腫や乳がん組織で高い陽性率を示すことを明らかにした。今回の結果と考え合わせると、がん組織でのCSPG4の発現が高いがん種において、抗CSPG4自己抗体が高値となる可能性が示唆された。 本研究課題の目的は、抗CSPG4自己抗体の早期診断や予後予測への応用である。今回の検討により、検討対象とするがん種を乳がんと絞り込むことはできたが、さらなる検討については期限内に実施することができなかった。しかしながら、継続して本研究を遂行し、抗CSPG4自己抗体が、乳がんの早期検出や治療効果判定における有用性について検討を行っていきたいと考えている。
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