癌細胞では、酸化的リン酸化から解糖系への代謝変化が生じているため、固形癌の微小環境は乳酸により細胞外pHが酸性に傾いている。本研究では、B16F10メラノーマ細胞において、酸性pHが細胞の生存に関与するAktを活性化し、mTORとともに作用することでグルコース飢餓ストレス誘導性細胞死を抑制していることを明らかにした。一方、細胞外pHの酸性化は、MKN45およびMKN74胃癌細胞においてもグルコース飢餓ストレスによる細胞死を抑制したものの、これらの細胞ではAktのリン酸化は認められなかったことから、酸性pHによるグルコース飢餓環境下での生存促進機構は癌細胞によって異なると示唆された。
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