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2020 年度 実施状況報告書

チロシンキナーゼ阻害薬レゴラフェニブ活性代謝物の遊離形血漿中濃度の臨床的意義

研究課題

研究課題/領域番号 19K07204
研究機関昭和大学

研究代表者

藤田 健一  昭和大学, 薬学部, 教授 (60281820)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード多形紅斑 / グレード3 / 遺伝子多型 / HLA遺伝子 / 脂質メタボロミックス
研究実績の概要

2020年度はコロナ禍であったが、レゴラフェニブによる治療を行う結腸・直腸がん患者4名を新たにエントリーすることが出来た。
これまでにレゴラフェニブによる治療を行った40名の患者において、グレード3の多形紅斑が認められた。これらの患者の多くは減量や治療中止となった。そこで多形紅斑の発症機序の解明を中心に研究をすすめた。多形紅斑を発症した患者における、レゴラフェニブ、親化合物と同等の薬理学的活性を有する代謝物M-2とM-5の総血漿中濃度基準および遊離形血漿中濃度基準のAUCは、いずれも多形紅斑の発症とは関連しなかった。そこで免疫学的な機序の可能性を考え、グレード3の多形紅斑を発症した患者7名と発症しなかった患者33名についてHLAの遺伝子多型を網羅的に調べ比較した。その結果、グレード3の多形紅斑を発症した患者6名において、HLA-C*01:02が認められた(6/7)。一方、発症しなかった患者において本多型は8名に認められた(8/33)。グレード3の多形紅斑の発症に対する本遺伝子多型のオッズ比は18.8であり、本HLA多型を有する場合にグレード3の重篤な多形紅斑が発症する可能性が示された。HLA-C*01:02の他に、HLA-B*46:01についても多形紅斑との有意な関係を見出した(オッズ比11.6)。
また、炎症に関連するプロスタグランジンやロイコトリエンなどの脂質メディエータと多形紅斑との関係を調べるために、脂質メタボロミックス解析にも着手した。既に20種類程度の脂質の定量系を確立し、予備的に血漿中濃度の検討を開始している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要に示したように2020年度の研究は以下のように進展した。
(1)コロナ禍であっても患者のエントリーを進めることが出来た。
(2)昨年度に計画した研究の1つである、「レゴラフェニブの投与により惹起された重篤な多形紅斑の発症機序の一端を明らかにすること」に対して、レゴラフェニブと活性代謝物のAUCではなく、HLAの遺伝子多型が関与する事を明らかにすることが出来た。
(3)また、多形紅斑の機序解明については、脂質メタボロミックス研究も開始し、順調に進んでいる。
これらの進展を鑑み、研究は概ね順調に進んでいるとした。

今後の研究の推進方策

1. 次年度はまず、HLA遺伝子多型の研究および脂質メタボロミックス研究を、レゴラフェニブの投与により発症する手足症候群の機序解明に応用する。
2. 昨年度に立てた研究の中で以下を中心に遂行する。
(1)ABCG2以外のトランスポーターや、CYP3A5などの薬物代謝酵素の遺伝子多型を調べ、レゴラフェニブと活性代謝物の体内動態や薬物応答との関係を明らかにする。
(2)内因性基質を用いたCYP3A4活性やトランスポーターの定量と、レゴラフェニブと活性代謝物の体内動態の関連を明らかにする。
(3)レゴラフェニブおよび代謝物の体内動態を説明するPBPKモデルを開発する。

次年度使用額が生じた理由

当初計画していた以下の研究項目については、2021年度以降に進めて行くことになったために、次年度使用額が生じた。
1.レゴラフェニブや活性代謝物の代謝や輸送に関与する複数の薬物代謝酵素や輸送担体の遺伝子多型の解析。
2.内因性基質を用いたCYP3A4活性の定量と、レゴラフェニブと活性代謝物の体内動態の関連解析。
今後の研究の推進方策に従って、適切に研究費を活用していく。

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公開日: 2021-12-27  

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