研究課題/領域番号 |
19K07204
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
藤田 健一 昭和大学, 薬学部, 教授 (60281820)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | レゴラフェニブ / 多形紅斑 / HLA / ハプロタイプ / 副作用 / ケラチノサイト / 手足症候群 / VEGFR-2 |
研究実績の概要 |
我々が行っているレゴラフェニブの前向き臨床研究においては、40名中7名(17%)にグレード3の多形紅斑の発症が認められた。これらの患者はいずれも本副作用が原因でレゴラフェニブによる治療が中止となった。ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のハプロタイプがアロプリノールにより誘発された多形紅斑と関連したとの報告がある。そこで、レゴラフェニブによる多形紅斑の発症と、HLA遺伝子のハプロタイプに相関がみられるか否かについて検討した。WAKFlow HLA Typing Kit(湧永製薬)を用いて11種のHLA-Aハプロタイプ、9種のHLA-Bハプロタイプ、および7種のHLA-Cのハプロタイプについて調べた。多形紅斑を発症した7名中6名において、HLA-C*01:02が見いだされた。この頻度は、未発症の患者における頻度(8/33)と比較して有意に高かった(Odds ratio [OR] = 18.75、P = 0.004)。HLA-B*46:01もまた多形紅斑の発症と有意に相関した(OR = 11.63, P = 0.029)。一方、レゴラフェニブや活性代謝物M-2およびM-5の血漿中濃度-時間曲線下面積は、多形紅斑と相関しなかった。以上、これらのHLA遺伝子のハプロタイプが、レゴラフェニブの投与により惹起された多形紅斑と関連することを見出した。 また、マウスを用いたin vivoの研究において、レゴラフェニブを含むチロシンキナーゼ阻害薬による手足症候群は、ケラチノサイトに対する毒性と、VEGFR-2に対する阻害効果の組み合わせにより発症する可能性があることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで進めてきたレゴラフェニブの前向きな臨床研究にエントリーした患者の遺伝子検体を用いて、HLA遺伝子のハプロタイプが、レゴラフェニブの投与により惹起された多形紅斑と関連することを見出したこと、また手足症候群発症機序の一端を解明したことなど、一定の研究成果は得られており、論文発表・学会発表を行った。 一方、コロナ過の影響で、抗がん薬による治療を行うがん患者数は減少しており、レゴラフェニブの臨床研究にエントリー出来た患者数は少なかった。
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今後の研究の推進方策 |
レゴラフェニブの前向きな臨床研究を継続し、患者のエントリーを進めて行く。 これまでにエントリーした患者のゲノムDNAを用いてエクソーム解析を行い、治療の中止に繋がるほど重篤な多形紅斑や手足症候群の原因を解明する。これらの皮膚障害を発症した患者7名ずつと、全く発症しなかった患者における遺伝子多型の違いより、関連すると考えられる遺伝子を見出す。 また、皮膚の炎症に関連すると考えられるプロスタグランジン類の血漿中濃度を調べ、エクソーム解析の結果と合わせて皮膚障害のメカニズムを検討する。皮膚障害予測のバイオマーカーとしての意義も合わせて検討する。 レゴラフェニブ、および代謝物の体内動態を説明するPBPKモデルを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で、レゴラフェニブの前向きな臨床研究への患者のエントリーがなかなか進まず、解析が遅れたため。 レゴラフェニブによる皮膚障害の機序を解明するためのエクソーム解析や、血漿中の炎症関連脂質濃度の測定などに使用する。
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