• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

フラビン含有酸素添加酵素が既定する化学物質のヒト型モデル動物を用いた体内動態評価

研究課題

研究課題/領域番号 19K07205
研究機関昭和薬科大学

研究代表者

清水 万紀子  昭和薬科大学, 薬学部, 准教授 (90307075)

研究分担者 山崎 浩史  昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (30191274)
村山 典惠  昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (90219949)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードフラビン含有酸素添加酵素 / FMO
研究実績の概要

フラビン含有酸素添加酵素(FMO)はNADPH-依存的に窒素および硫黄原子を含む医薬品および生体内物質のN-およびS-酸化(酸素添加)を触媒する。ヒトFMO3は成人肝に多く発現する分子種である。ヒトではFMO3遺伝子多型が生体内トリメチルアミン代謝の個体差をもたらし、トリメチルアミン尿症の原因となることが明らかになっている。非ヒト霊長類カニクイザルはヒトのモデル動物として頻用されている。我々は非ヒト霊長類カニクイザルFMO3遺伝子多型を調べ、in vitro酵素活性に一部変動をもたらす18種類の変異を報告した。本研究では、FMO3遺伝子型既知のカニクイザルを用いて安定同位体標識したトリメチルアミンの体内動態を明らかにした。FMO3遺伝子変異を有したカニクイザル3頭のトリメチルアミン体内動態に、調べた範囲において大きな個体差は認められなかった。生体内におけるトリメチルアミンの消失にはFMO3遺伝子型、すなわち質だけではなく、その量も影響していることが推察された。本研究の結果は、サルだけでなく、FMO3遺伝子変異を有するヒトにおけるFMO3基質の体内動態予測の基盤情報となることが期待される。
さらに、我々は日本人大規模ゲノムデータベースの探索および表現型の探索から日本人トリメチルアミン尿症の一因となりうるFMO3遺伝子変異を報告してきた。本研究ではトリメチルアミン尿症の症状を示すアルゼンチン人少女の症例をアルゼンチンと日本で相互に共同研究を行った。家系解析から見出した新規FMO3遺伝子変異はp.[P73L;E158K;E308G] および p.F140Sであった。本FMO3遺伝子変異を有する変異型FMO3酵素の試験管内でのトリメチルアミンN-酸化酵素活性は野生型に比較して低値を示した。これらの結果は日本人だけでなく国際的にトリメチルアミン尿症の理解につながると推察される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒトの薬物体内動態のよりよい予測を行うために有用な動物モデルを検討した。ヒト肝細胞移植マウスを用いたin vivo相互作用を検討した結果を原著論文としてまとめられた。

今後の研究の推進方策

ヒトおよび動物の生体内薬物酸化におけるFMO3 の寄与をさらに検討するため、ヒト肝移植および非移植マウスを用いて薬物相互作用の検討を行う。さらに、N-酸化反応に対するFMOの寄与予測を行う。In vitro薬物代謝酵素活性の活用を行うために、各種実験動物の肝および腎ミクロゾームのFMO基質代謝酵素活性を測定していく。薬物体内動態の解析を行うため、生理学的薬物動態モデルの活用を行う。

次年度使用額が生じた理由

米国で開催が予定されていた日本薬物動態学会/北米薬物動態学会の合同学会が感染症拡大の影響で中止となった。研究成果を発表するのに国際学会での発表がふさわしいと考えたため次年度使用額が生じた。
次年度における使用計画として、海外の国際学会での成果発表に使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] Universidad Nacional Del Sur/Instituto de Diagnostico Infantil(アルゼンチン)

    • 国名
      アルゼンチン
    • 外国機関名
      Universidad Nacional Del Sur/Instituto de Diagnostico Infantil
  • [雑誌論文] Novel variants in outer protein surface of flavin-containing monooxygenase 3 found in an Argentinian case with impaired capacity for trimethylamine N-oxygenation2020

    • 著者名/発表者名
      Dionisio Leonardo、Shimizu Makiko、Stupniki Sofia、Oyama Saki、Aztiria Eugenio、Alda Maximiliano、Yamazaki Hiroshi、Spitzmaul Guillermo
    • 雑誌名

      Drug Metabolism and Pharmacokinetics

      巻: 35 ページ: 383~388

    • DOI

      10.1016/j.dmpk.2020.05.003

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Trimethylamine N-oxygenation in cynomolgus macaques genotyped for flavin-containing monooxygenase 3 (FMO3)2020

    • 著者名/発表者名
      Shimizu Makiko、Uno Yasuhiro、Utoh Masahiro、Yamazaki Hiroshi
    • 雑誌名

      Drug Metabolism and Pharmacokinetics

      巻: 35 ページ: 571~573

    • DOI

      10.1016/j.dmpk.2020.07.001

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Different Effects of Polymorphic Flavin-Containing Monooxygenase 3 and Cytochrome P450 2A6 Activities on an Index of Arteriosclerosis as a Lifestyle-Related Disease in a General Population in Japan2020

    • 著者名/発表者名
      Uraoka Mirai、Shimizu Makiko、Kuwajima Yoshiki、Mizugaki Ami、Yokoyama Haruka、Mure Kanae、Yamazaki Hiroshi
    • 雑誌名

      Current Drug Metabolism

      巻: 21 ページ: 1161~1164

    • DOI

      10.2174/1389200221666201009140802

    • 査読あり
  • [学会発表] フラビン含有酸素添加酵素が関わる薬物体内動態の個人差と相互作用2021

    • 著者名/発表者名
      清水万紀子、山崎浩史
    • 学会等名
      日本薬学会第141年会
  • [学会発表] アルプラゾラムと口キソプ口フェンの誤飲が疑われた1歳児における薬物動態分析2020

    • 著者名/発表者名
      田中敏博,清水万紀子,山崎浩史
    • 学会等名
      第41回日本臨床薬理学会学術総会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi