研究課題
統合失調症様行動を示すマウスモデルの構築に成功し、そのモデルマウスの脳の海馬や前頭前皮質及び側坐核におけるMGO濃度の有意な上昇を明らかにした。次いで、MGOが増大している海馬において、7種のMGOを前駆体としてアルギニン残基の修飾によって生じる、メチルグリオキサールハイドロイミダゾロン(MG-H1)化タンパク質の蓄積を証明した。CS-SCZモデルマウスの海馬においては、ミトコンドリア型クレアチンキナーゼを含む7種のタンパク質におけるMG-H1化の亢進が認められ、ミトコンドリア型クレアチンキナーゼの活性が有意に低下していることを明らかにした。ミトコンドリア型クレアチンキナーゼ活性の低下は、海馬内におけるエネルギー産生能の低下を招くことから、突起伸張が阻害されるなど神経細胞に深刻なダメージを与える可能性が示唆された。そこで、マウス海馬を用いて、MGO添加に伴うミトコンドリア型クレアチンキナーゼ活性の変化と、MG-H1化タンパク質の生成、蓄積について解析したところ、MG-H1化タンパク質の生成とミトコンドリア型クレアチンキナーゼ活性の失活には明瞭な相関関係があることが示された。従って、CS-SCZ患者の海馬におけるMG-H1化タンパク質の蓄積とCK活性やCreatine及びPhosphocreatineレベルの変化を解析し、それらの相互関係を明らかにすることで、本研究成果を基礎としたCS-SCZ研究の発展が期待される。現段階においては、CS-SCZにおけるAGEsの脳内蓄積と、その発症機序への関与は不明であるが、今後、in vivo ノックダウン等の手法により、マウス海馬において糖化の亢進を認めたCK-mitを含む7種タンパク質の統合失調症様行動への関与を検証することにより、発症機序解明の糸口を見出すことが望まれる。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Redox Biol.
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