研究課題
基盤研究(C)
腎臓における脂溶性カチオンの輸送機構と生理的役割を明らかにする目的で、培養イヌ、ブタ、ヒト腎尿細管細胞における脂溶性カチオンの取り込み活性を測定するとともに、ラットにおける腎排泄クリアランスを評価した。その結果、尿細管細胞においては種を超えて、新たなプロトン/脂溶性カチオン対抗輸送系が発現しているとともに、ラットにおいて脂溶性カチオンが尿細管分泌を受けること、および尿のアルカリ化によって、分泌が低下することを明らかにした。
薬物動態学
本研究では培養腎上皮細胞およびラットを用いて、脂溶性有機カチオンの尿細管分泌には、水溶性カチオンの輸送トランスポーターであるMATEとは異なるプロトン/脂溶性カチオン対向輸送系が関わることを示した。また、酸性リン脂質を添加したリポソームを作成することによって、脂溶性カチオンの輸送が酸性リン脂質によって顕著に増加することから、プロトン/脂溶性カチオン対向輸送系の分子実体は、従来予想されてきたタンパク質によって構成されるトランスポーターではない可能性を示すことができた。