研究課題
リスペリドンは消化管から完全に吸収されたのち、体内ではCYP2D6及び一部はCYP3A4によって、活性代謝物であるパリペリドンに代謝される。本研究では、妊娠経過に伴う生理学的・薬物動態学的変化及び新生児における臓器の発達がリスペリドン及びパリペリドン血中濃度に与える影響について、リスペリドン内服妊婦とその児から得られた血中濃度データを用いて評価するとともに、生理学的薬物動態モデルを用いた検討を行った。まず、リスペリドン及びパリペリドンについて、文献情報及びSimcypの予測ツールによるパラメータを用いて生理学的薬物動態モデルを構築した。その後、モデル構築に用いなかった白人及び日本人健常人の文献データを用いて検証を行った。さらに、小児及び妊産婦集団への外挿を行ったのち、臨床データとの対応を評価した。測定の結果、リスペリドンの血中濃度は妊婦及び新生児において検出されなかったが、パリペリドン血中濃度は妊婦及び新生児において、2.05〜3.80及び 0.82〜1.03 ng/mLであった。構築した生理学的薬物動態モデルは、成人、小児、及び妊婦の両薬物の血中濃度を精度よく予測しており、臨床データとの対応も良好であった。感度分析の結果、アルブミン濃度の低下及びCYP2D6活性の上昇がリスペリドン血中濃度の低下に主に寄与しており、アルブミン濃度の低下に加えてGFRの上昇及び胎児胎盤体積の増加がパリペリドン血中濃度の低下に寄与していることが示された。また新生児のGFR予測において、RhodinやSchwartzのモデルに比べて、Symcypモデルが優れていることが示唆された。以上、構築したモデルは妊婦及び新生児の薬物動態を予測でき、母集団を超えて精密医療に用いることができることが示された。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
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