本研究課題では、高齢・臓器障害等のスペシャルポピュレーションを含めた感染患者において、配合製剤を含むβ-ラクタム系薬(ampicillin-sulbactam、cefazolin、cefdinir、cefozopran、ceftazidime、flomoxef、imipenem、panipenem、piperacillin-tazobactam)、キノロン系薬(pazufloxacin)、マクロライド系薬(azithromycin)、イミダゾール系薬(metronidazole)、抗耐性菌薬(daptomycin、linezolid、teicoplanin、vancomycin)、抗真菌薬(voriconazole)、抗ウイルス薬(valaciclovir/aciclovir)について、血漿中および組織体液(前立腺・精巣上体・腹水・腹膜・皮下脂肪織)中の濃度を測定し薬物動態(PK)を明らかにした。病態時での宿主因子の薬力学(PD)、病原体の薬剤耐性機構に関しては、微生物学的試験、殺菌時間曲線試験や臨床のデータを収集した。三者の定量的解明と統合的解析評価による耐性菌の治療・発現防止へ向けた最適化式の構築については、薬物移行性、基礎・非臨床や治療のデータなどを定量的に評価し、生理学的臓器別ポピュレーションPK/PDモデリングおよびランダムシミュレーションにより、関連性を説明し表現する関係式を構築した。治療最適化式のプロスペクティブ検証とフィードバック修正による抗菌薬療法アルゴリズムの確立に関しては、薬物移行動態、宿主病態、病原体耐性に関する特性因子に応じた個別最適な抗菌薬療法の設計支援ツールを開発して患者へプロスペクティブに臨床適用し、適用結果のフィードバックを得た。
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