研究課題/領域番号 |
19K07225
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研究機関 | 岐阜医療科学大学 |
研究代表者 |
世戸 孝樹 岐阜医療科学大学, 薬学部, 准教授 (30744974)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 光安全性 / 皮膚曝露 / Reactive oxygen species |
研究実績の概要 |
本研究は臨床のみならず,医薬品・化粧品開発においても注目を集めている薬剤性光線過敏症について,その発症機序に基づく光安全性評価法の確立ならびに本副作用の低減・回避方法の戦略的創出を目指すものである.2014 年に施行された医薬品開発における光安全性評価に関するガイドラインでは (1) 医薬化合物の光反応性および (2) 医薬化合物の皮膚移行性が重要なリスクファクターと示されている.しかしながら,本ガイドラインでは光反応性あるいは光毒性を評価する in chemico/in vitro 試験のみが推奨試験法と記載されているのみである.これらの結果は生体における光毒性反応と必ずしも相関するわけではないため,その他の発症機序,特に皮膚曝露を加味した体系的な評価フローの構築が必要である.そこで本研究では光毒性の発症機序である化学物質の光反応性および皮膚内動態評価を基盤とし,特に動物実験に依存しない光安全性評価系の開発を目指す.本年度は経皮適用化合物に対する光安全性評価系の構築を試みるべく,皮膚内動態評価法としてラット摘出皮膚を用いたin vitro 皮膚透過性試験法を光安全性評価系に採用した.フランツ型拡散セルにてラット摘出皮膚をはさみ,被験物質群の皮膚透過性について評価を行い,皮膚透過性のデータを用いてラット摘出皮膚内の被験物質濃度を予測し,被験物質の皮膚曝露の指標とした.本予測データとROS assay による光反応性のデータを組み合わせることで光安全性評価が可能であるか精査し,化合物の in vivo 光毒性と関連性のある予測を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していた検討課題は順調に進めることができ,引き続き動物実験に依存しない光安全性評価系の構築を進めていく.
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今後の研究の推進方策 |
皮膚を模倣した人工膜を用いた検討を進め,動物実験に依存しない光安全性評価系の構築を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の流行により学会のオンサイト開催がなくなり,予定していた学会への参加費用が必要にならなかったため.予定していた動物実験の動物数の削減ができ,これにかかる費用を削減できたため.来年度の人工膜を用いた実験充実の単の費用に充てる.
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