研究課題/領域番号 |
19K07230
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
河添 仁 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 講師 (60527563)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 悪心・嘔吐 / 抗精神病薬 / ドラッグ・リポジショニング / パイカ行動 / カオリン |
研究実績の概要 |
本研究では、臨床的課題である高度催吐性リスクの抗がん剤誘発悪心・嘔吐の更なる改善に繋げることを目的に、非定型抗精神病薬のドラッグ・リポジショニングとその機序解明を目指している。 2020年度は、マウス専用の摂餌量測定装置を用いて、抗がん剤誘発性悪心・嘔吐の代償行動であるパイカ行動(カオリン摂餌量)を主要評価項目とする動物実験を継続した。副次的評価項目は通常食摂餌量、飲水量及び活動度とした。本研究では摂食量、飲水量及び活動度の同期的変化を測定する新たな測定装置を構築して、より詳細な行動変化及び概日リズム発現までを解析可能とした。 DBA/2雄マウス(6週齢)にシスプラチン12.5 mg/kgを腹腔内投与し、7日間のカオリン摂餌量を測定した。二元配置分散分析の結果、シスプラチン単独投与群は生理食塩水群と比較して、day3にカオリン摂餌量の有意な増加がみられた。シスプラチン投与前に、制吐療法であるグラニセトロン、デキサメタゾン及びホスアプレピタントを前処置した群はカオリン摂餌量に有意差がみられなかった。パイカ行動による実験系が完成した。現在、ドラッグ・リポジショニングとして抗精神病薬であるオランザピン、アセナピン及びミルタザピンを前処置した実験を行っている。 2021年度はラットでも検証するために、慶應義塾大学医学部の動物実験管理委員会へ研究計画書を2021年3月に申請し、マウス専用の摂餌量測定装置を購入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍に伴う施設封鎖や動物実験の制限があり、本研究は一時中断せざるを得なかった。また、マウスの薬剤応答性に個体差が大きかったことから、一群あたりのn数をn=8からn=16へ増やして再現性のあるデータを取得することへ変更した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度以降はマウス及びラットを用いて、パイカ行動を主要評価項目とした非定型抗精神病薬のドラッグ・リポジショニング研究を進める。引き続き、各受容体拮抗薬(セロトニン5-HT1A、5-HT2B、5-HT2C及びドパミンD2受容体)を用いて、非定型抗精神病薬の制吐作用機序解明を目指す。
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