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2020 年度 実施状況報告書

脂肪幹細胞における薬物輸送解析と腎保護能を有する新規細胞医薬の開発にむけた最適化

研究課題

研究課題/領域番号 19K07235
研究機関大阪薬科大学

研究代表者

竹林 裕美子  大阪薬科大学, 薬学部, 助教 (50805299)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード脂肪幹細胞 / トランスポーター / 腎障害
研究実績の概要

近年、間葉系細胞の一つである脂肪幹細胞は再生医療への応用が期待されている。我々は、脂肪幹細胞に薬物を封入させ障害組織に送達させる、脂肪幹細胞を利用したドラッグデリバリーシステムの構築を目標としているが、脂肪幹細胞への薬物移行性並びに薬物が取り込まれた後の細胞内挙動に関する情報は未だ少ない。本研究では、ヒト脂肪幹細胞への腎保護作用を持つ薬物の封入性を高めるため、ヒト脂肪幹細胞における薬物の輸送機構を分子レベルで解明することを目的としている。2020年度は、引き続きヒト脂肪幹細胞における薬物トランスポーターの発現解析について定量的PCR法を用いて検討し、トランスポーター介在性輸送の分子機構について調査を進めた。
今年度は腎保護作用を有する薬物の輸送に関与するトランスポーターについて検討を行った。まず、HMG-CoA還元酵素阻害薬やアンジオテンシン変換酵素など、薬物の取り込みに関与することが報告されているOATP1B1、OATP1B3、およびOATP2B1について検討した。その結果、OATP2B1 mRNAは確認できたものの非常に低値であり、OATP1B1及びOATP1B3に関しては確認が出来なかった。一方、薬物の排泄に関わるABCトランスポーターの発現に関して解析を進めたところ、MRP1、MRP2、MRP3 mRNAの明確な発現が確認された。
以上の結果、ヒト脂肪幹細胞において、これらトランスポーターmRNA発現量に顕著な差があることが明らかとなり、特に細胞外への薬物排出に関わることが予測されるABCトランスポーターの発現が確認できた。しかし、薬物の取り込みに関与するABCトランスポーター、OATP1B1、OATP1B3、及びOATP2B1に関してはmRNA発現レベルでも非常に低く、これらトランスポーターを介する脂肪幹細胞内への薬物導入は期待し難いことが推察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度に引き続き、ヒト脂肪幹細胞内に発現しているトランスポーターのmRNA解析は順調に進んでいるが、腎保護作用を有する薬物の取り込みに関与するトランスポーター発現が未だ同定できていないため、他の薬物トランスポーター発現の可能性を精査する必要がある。また脂肪幹細胞のロット間での種々トランスポーター発現量の差についても押さえる必要があり、研究課題の進捗状況としては上記の評価とした。

今後の研究の推進方策

初年度の研究において見い出された、ヒト脂肪幹細胞に発現するトランスポーターGLUT1、BCRPおよびOCTN1、OCTN2については、ウエスタンブロットおよび免疫染色解析などを行い、タンパクレベルでの発現および細胞内局在性を確認する一方、脂肪幹細胞における種々薬物の取り込み実験を進めていく予定である。
また、薬物の取り込みに関与するトランスポーターの発現解析を引き続き進めることによって、ヒト脂肪幹細胞におけるトランスポーター介在性薬物輸送を精査していく。さらに、脂肪幹細胞を生体に適用後は障害組織などに集積することが知られているが、障害組織周辺では血流が乏しく、集積した脂肪幹細胞が低酸素環境下に晒されることが想定されるため、低酸素条件下におけるトランスポーターの発現および機能変動についても解析を進める予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 低酸素培養条件下におけるヒト脂肪幹細胞のHIF-1関連遺伝子の発現変動2021

    • 著者名/発表者名
      池田 祐介、土佐 勇策、竹林 裕美子、孫 紅昕 、本橋 秀之、永井 純也
    • 学会等名
      日本薬学会 第141年会

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公開日: 2021-12-27  

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