研究課題/領域番号 |
19K07241
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
多鹿 友喜 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (90400738)
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研究分担者 |
池澤 麻衣子 (高橋麻衣子) 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (50701322) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | CoMBI / 相関型形態解析 / VAMP5 / 小胞輸送 / 3Dイメージング |
研究実績の概要 |
2019年度に高精細3Dイメージングの装置開発を行い、2020年度ではその装置(CoMBI-S型と命名)と有用性に関する論文を投稿した。装置の特徴は、(1)連続ブロック面画像から高精細な3Dデータを得られること、(2)切片の採取もできるため切片を用いた顕微鏡画像と3Dデータを相関させられること、(3)試料は凍結ブロックでもパラフィン包埋ブロックでも解析できること、の3点である。得られるデータの精細さに関しては、神経細胞1個や、細胆管の網目状配置の3Dデータで、細胞レベルまで観察できることを示した。また、試料準備の技法も開発し、タンニン酸染色が、組織内部の精細な観察に有効であることを示した。例えば、網膜は生体内で最も透明度の高い組織であり、それをそのまま凍結ブロックにすると、ブロック面画像では真っ白一辺倒の組織塊として見えるだけであるが、タンニン酸染色を施せば、網膜内の層構造を区別できるようになった。マウス胚では、タンニン酸による胚の内部構造の可視化と切片との相関を示した。さらに、開発した装置は、凍結ブロックもパラフィンブロックも解析できる。パラフィン本来の透明度では、ブロック面像を撮影すると、奥の構造物までも透けて見えてしまうという問題があったため、パラフィンの不透明化法を開発した。ひとつは、パラフィンに直接、白いクレヨンを混ぜる方法で、大きめの標本に最適である。もう一つは、標本を白水彩絵の具入りアガロースに前包埋する方法で、これは1ミリ程度の小さい標本に最適で、標本の向きを決めることができる。以上の成果には多くの共同研究者が参画し、それぞれの専門分野であつかう生物試料の新しい形態手法としてCoMBI-S型の有用性を示せた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス対応のため飼育規模を縮小したことで、ノックアウトマウスの解析はゆっくりとしか進んでいないものの、装置開発は非常に順調に完了した。さらに試料の準備方法を開発し、開発した装置と手技は、全体として安定性が増しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新しく開発したイメージング技術で、ノックアウトマウス胚の形態解析を行う予定である。しかしながら、ノックアウトマウスの出生率は低いこと、新型コロナウイルス対応のため飼育規模を縮小したことで、ノックアウトマウスの解析はゆっくりとしか進められない。胚から生体までの全身、各種臓器、硬組織も含めて、3Dイメージングにむけた試料調整法の安定化を図る。また、3Dデータの扱いについては、基本的な手順(ズレ補正、多平面再構築、ボリュームレンダリング、セグメンテーション、数値化)を2020年度内に検討し、ほぼ定まったたところだが、次年度は、近年のAI技術を取り込んたセグメンテーションの効率化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文のOA費用を計上していたが、年度末の3月に論文を投稿して、審査を待っている状態で年度を越したため、残金が発生した。受理されたときに使用する予定である。
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備考 |
2020年度に、CoMBIの導入から操作までをまとめて、サイトに公開した。
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