研究課題/領域番号 |
19K07253
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
高橋 将文 自治医科大学, 医学部, 准教授 (20361074)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯の形成 / 上皮間葉相互作用 / 切歯 / Six1 / Six4 / Six2 |
研究実績の概要 |
本研究では、歯の上皮間葉相互作用における細胞動態や歯上皮幹細胞維持・分化の制御機構の解明を目的とする。SIXファミリー転写因子遺伝子欠損マウスと野生型マウスとの表現型の比較により、1) 切歯形成を司るSIX1/Six4下流因子の同定、2) SIXファミリー転写因子による機能重複の検証した。 1) Six1/Six4 二重変異ホモ胚および野生型胚から下顎原基切歯形成領域を胎齢(E) 11.25および11.5日の段階で切り取り、RNAを抽出し、RNAseq解析を行った。Six1/Six4 二重変異体で発現が低下する遺伝子をいくつか同定し、組織学的解析により顕著に発現が低下する遺伝子を同定した。 2) Six1/Six4二重変異マウス胚は、下顎切歯の形成異常が見られるが、上顎切歯の形成はほぼ正常である(Takahashi et al., 2020)。上顎切歯形成領域にはSix2が発現し、下顎切歯形成領域には発現しないことから、Six2が上顎切歯形成に関わるという仮説を立てた。新たに作製したSix2変異マウスとSix1/Six4ニ重変異マウスを交配し、Six1/Six4/Six2 変異三重ヘテロマウスを得た。これらマウスの交配により、Six1/Six4/Six2 三重変異ホモ胚を得た。E13.0日のSix1-/-Six4-/-Six2+/- マウス胚では、少なくとも、上顎切歯はSix1/Six4二重変異マウスと同様に形成されていたが、Six1-/-Six4-/-Six2-/-胚では、上顎切歯形成領域を含む、上顎領域が広く欠損していた。以上の結果から、上顎領域の形成において、Six1/Six4/Six2は機能重複性を示し、特にSix2遺伝子がSix1/Six4の機能を代償できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度、動物飼育室の改築のため、一時実験を中断せざるを得なかった。しかしながら、本年度はマウスの交配が順調に進み、目的の三重変異ホモ変異体が得られ、上顎形成における遺伝子機能の仮説を検証出来た。また、Six1/Six4の下流制御遺伝子をいくつか同定し、共同研究により、その遺伝子変異マウスの解析を行う準備が出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、RNAシークエンスの結果から、Six1/Six4二重変異ホモ胚で発現が顕著に低下していた遺伝子について着目する。組織学的解析やマイクロCTなどの非侵襲的方法を併用し、その遺伝子変異マウスの表現型を明確にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症対策のため、予定していた他大学との共同研究の着手が遅れたため。延長申請を行い、本研究課題として2023年度に遂行する予定である。
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