研究課題/領域番号 |
19K07254
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
北沢 祐介 獨協医科大学, 医学部, 助教 (00467581)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アロ抗体産生応答 / 辺縁帯B細胞 / 濾胞B細胞 / 活性化B細胞 / FITC-Dextran / FITC-KLH / FITC-Ficoll |
研究実績の概要 |
研究代表者の本年度における研究目的は、アロT細胞移入後の宿主マウスの脾臓に存在する2種類の成熟B細胞(濾胞B細胞:FOB、辺縁帯B細胞:MZB)のアロ抗体産生応答への関与を比較することである。(1)生体内でアロ抗体産生応答をするために同種異系マウスモデルを確立し、アロB細胞応答の動態的パターンを確認する:Balb/cマウスの脾臓またはリンパ節から単離したT細胞をB6マウスに静脈内投与し、投与7日目の宿主の血中から抗Balb/c抗体を検出した(アロ抗体産生応答モデルが確立した)。投与後の宿主脾臓の多重免疫組織切片によるB細胞動態解析においては、活性化したB細胞をCD9(MZBマーカー), CD25(活性化マーカー)では同定できないことが確認された。そこで代わりの抗体としてGL7(GCのB細胞活性化マーカー)に変更した。その結果、投与4日目にB細胞応答、7日目に抗体産生細胞の発生といった経時的な形態的パターンを可視化したデータを得ることができた。(2)MZB(辺縁帯B細胞)優位またはFOB(濾胞B細胞)優位の成熟B細胞応答のパターン解析:同種異系マウスモデルの宿主であるB6を用いて、それぞれ優位なB細胞応答を誘導する抗原を単独に静脈内投与し脾臓におけるB細胞応答について解析した。MZB優位に誘導する抗原FITC-dextranは優位性が不安定であった。そのため抗原量などの条件やその他の代替え抗原について現在検討中である。一方、FOB優位に誘導する抗原FITC-KLHは、FOB優位性およびFITC抗体産生応答について形態的パターンの可視化データを得ることができた。今後、MZB優位な応答を示すB細胞応答についての形態的パターンの可視化データが得られれば、FOB優位のデータとの双方向からアロ抗体産生応答におけるB細胞動態を解析でき、アロ抗体産生応答を明らかにする重要な一歩となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究実施計画について一部変更と到達目標の未達成がある。 B細胞の多重染色法に用いる検出抗体の変更:B細胞は末梢器官において、刺激(活性化)されると成熟B細胞、活性化B細胞、抗体産生細胞(形質細胞)へと形質を変化させる。そのため抗体が検出する表面抗原も変化させてしまうので、特定の成熟B細胞から形質細胞に至るまでを1分子のみで検出し続け追っていくことは困難であると結論した(複数のB細胞抗体で検討済み)。しかし、その後の先行論文検索によって複数の抗体で断片的ではあるが検出し可視化できることがわかった。そのため研究実績の概要に述べたGL7抗体を用いることで、濾胞中心の活性化B細胞を検出させ、その後のMZB(辺縁帯B細胞)優位またはFOB(濾胞B細胞)優位の成熟B細胞応答のパターン解析にも応用できると考えている。 到達目標の未達成:MZB(辺縁帯B細胞)優位に誘導する抗原FITC-dextranは、数回の検討とさらなる先行論文により優位性については不安定であることがわかった。FITC-Dextranの不安定な応答は分子量(大きさ)などに依存する説もあることから、さらなる条件検討を行いつつ、同様の機能を有する別の抗原FiTC-Ficollについても購入し検討している。そのため一部目標が未達成なため予定どおりにアロ抗体産生応答の動態解析が明確化されていない。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の遅延している研究計画については、[現在までの進捗状況]に記載してある研究計画にて随時進行し、早急に結論を出す予定である。また、次年度に予定している抗体産生細胞の解析では、抗体産生細胞の特異的マーカーであるSyndecan-1の抗体検出の予備実験が初年度の解析にて確認が得られていることから進展しやすい状況にある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の使用金額が予定通りに処理されなかったのは、研究計画通りに研究が進展していないためである。現在一部の研究計画が検討中になっているが、結果が得られ次第、再現性の実験を含め、研究計画の予定通りの内訳にて研究費が使用される予定である。
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