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2021 年度 実績報告書

高い骨密度の骨を形成する新規骨芽細胞群「超石灰化骨芽細胞」の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K07256
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

黒田 有希子  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70455343)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード骨芽細胞 / 骨形成 / コラーゲン / 石灰化 / 耳小骨 / 骨基質 / 骨密度 / アパタイト配向性
研究実績の概要

哺乳類の全身骨格を構成する200個以上の骨はそれぞれ固有の機能や形態を持つだけではなく、その骨密度にも固有の特徴があることが分かった。成獣マウスにおいて骨密度が際立って高い耳小骨、上腕骨遠位部、および脛骨遠位部を解析したところ、一般的な骨芽細胞マーカーとして用いられるI型コラーゲン(Col1a1)2.3kbプロモーターの活性がほとんどない骨芽細胞が骨基質を産生していた。本研究では、この新たな骨芽細胞群と一般的な骨芽細胞との違いを明らかにし、骨密度の高い骨を形成する分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。
マウス耳周辺部の聴覚に関連する骨は軟骨が骨に置き換わる内軟骨性骨化により形成され、約3週間(離乳時期)で耳全体が石灰化骨へ置き換わる。生後3週間目のマウスで骨密度を計測したところ、聴覚関連の骨は長管骨よりも骨密度が高かった。この結果から、耳の骨では、一般的な骨が老化の過程で硬くなるのとは異なり、発生過程において骨を高石灰化するメカニズムが存在することが示唆された。また、聴覚に関連する骨を造っている骨芽細胞と骨細胞の特徴としてII型コラーゲンを発現していることが分かった。その結果、聴覚関連骨と一般的な骨は異なる骨基質から成り、II型コラーゲンを含む聴覚関連骨の方がより石灰化成分を含有し易いことが明らかとなった。耳小骨以外の高骨密度部位である上腕骨遠位部、および脛骨遠位部ではII型コラーゲンを発現する骨芽細胞の存在は確認できなかったため、我々は耳の高石灰化骨を形成する特徴的な骨芽細胞を“聴覚骨芽細胞(Auditory osteoblast)”と名付けた。聴覚骨芽細胞によって造られた骨は、骨密度だけではなく、アパタイト配向性が一般的な骨よりも高かった。骨密度とアパタイト配向性は音速と正の相関を示すことから、聴覚骨芽細胞は振動を伝えやすい骨を造ると考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Lidwig Boltzmann Institute of Osteology(オーストリア)

    • 国名
      オーストリア
    • 外国機関名
      Lidwig Boltzmann Institute of Osteology
  • [雑誌論文] Hypermineralization of Hearing-Related Bones by a Specific Osteoblast Subtype2021

    • 著者名/発表者名
      Kuroda Y, Kawaai K, Hatano N, Wu Y, Takano H, Momose A, Ishimoto T, Nakano T, Roschger P, Blouin S, Matsuo K
    • 雑誌名

      J Bone Miner Res

      巻: 36 ページ: 1535-1547

    • DOI

      10.1002/jbmr.4320

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 中耳や内耳を構成する高石灰化骨を造る聴覚骨芽細胞の解析2021

    • 著者名/発表者名
      黒田 有希子
    • 学会等名
      第39回 日本骨代謝学会学術集会
  • [備考] 慶應義塾大学医学部細胞組織学 松尾光一研究室

    • URL

      http://wp4.matsuo-lab.com/

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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