本研究は、加齢や神経疾患で観察される脆弱性が、脳の領域選択的な脈管系の構造的特徴、あるいは加齢による領域選択的な血管老化が関与する可能性に着目した。その結果、VEGFR1陽性の内皮細胞を指標として、老齢では領域選択的に血管密度の減少が観察されることが見出され、また、アルツハイマー病モデル動物の脳血管を詳細に観察したところ、特徴的な毛細血管の周囲でβアミロイドの蓄積が若齢から優先して観察された。今後、本研究を発展させ、老齢脳やアルツハイマー病脳における限られた組織領域が、何故脆弱であるのかを血管老化の観点からさらに分子的に追求することで、脳疾患の治療や予防に応用可能な技術を見出したい。
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