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2020 年度 実施状況報告書

減数分裂チェックポイントによる細胞死誘導とその制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 19K07262
研究機関群馬大学

研究代表者

向後 寛  群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (20282387)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード対合チェックポイント / 減数分裂 / リン酸化 / ゲノム編集
研究実績の概要

哺乳類の減数分裂に必須なタンパク質であるHORMAD1やその近縁分子で減数分裂チェックポイントに必要なHORMAD2は複数のリン酸化修飾を受けることが知られているが、各リン酸化の機能的意義はほとんど明らかにされていない。HORMAD2のC末端付近には3ヶ所のリン酸化部位(Ser284/287/288)が存在する。そのうち1ヶ所のリン酸化部位(Ser284)について、以前の解析でゲノム編集により非リン酸化型(Ala284)とリン酸化模倣型(Asp284)に改変したマウスを作製して表現型解析を行い、非リン酸化型HORMAD2マウスの卵巣では卵母細胞の細胞死がやや亢進し、逆にリン酸化模倣型HORMAD2マウスの卵巣では対合不全による細胞死が部分的に抑制される、という結果を得ていた。今年度は前年度に作製した、マウスHORMAD2のC末端付近の3ヶ所のリン酸化部位(Ser284/287/288)全てを非リン酸化型(Ala284/287/288)とリン酸化模倣型(Asp284/287/288)に改変したマウスの表現型解析を行った。これまでのところ、Ser284のみの変異体と3ヶ所全ての変異体とでは、対合不全の多寡などの条件の違いにより、その表現型が一致しないという解析結果が出ており、単純に非リン酸化型であれば細胞死が亢進し、逆にリン酸化型であれば細胞死が抑制される、というものではないとも考えられる。今後の方針としては、さまざまな条件下での各変異体の挙動について、特に核内ドメインや染色体軸への局在を詳細に解析し、各変異体による細胞死誘導活性と核内での分子挙動との関係を理解することにより、一見矛盾した結果を統一的に理解できるような知見を得たいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

HORMAD2の3ヶ所のリン酸化部位について、非リン酸化型とリン酸化模倣型に改変したマウスの表現型解析が行えたことは、当初の想定以上の成果である。一方、その結果が単純には理解できないようなものであった点や、当初計画していたHORMAD2の2種類のリン酸化状態それぞれに特異的なモノクローナル抗体の作製、細胞死誘導の分子機構の解析については遅れが生じている。従って、全体としてはやや遅れた進行状況になっている考えている。

今後の研究の推進方策

HORMAD2のリン酸化状態と細胞死誘導活性が単純には対応しないと思われるため、各変異体の細胞内局在について、詳細に解析し直す必要があると考えている。具体的には、一部の変異体で、ある核内ドメインへの局在傾向に違いが見られたため、その局在のしやすさと細胞死誘導活性の間の関係を検討したいと考えている。また、野性型で実際に存在するマウスHORMAD2の2種類のリン酸化状態についても同様の解析を行うため、特異的なモノクローナル抗体を作製して、免疫組織染色による形態学的解析を進める。同時に、非リン酸化型とリン酸化模倣型の変異体と結合するタンパク質(複合体)を免疫沈降法などにより同定をすることで、HORMAD2のリン酸化の機能的意義の解析を進めていきたい。

次年度使用額が生じた理由

タンパク質複合体の質量分析や、モノクローナル抗体の作製に着手できていないため、次年度使用額が生じたと考えている。次年度には、いずれにも着手したいと考えている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Successful generation of epigenetic disease model mice by targeted demethylation of the epigenome.2020

    • 著者名/発表者名
      Takuro Horii, Sumiyo Morita, Shinjiro Hino, Mika Kimura, Yuko Hino, Hiroshi Kogo, Mitsuyoshi Nakao and Izuho Hatada
    • 雑誌名

      Genome Biology

      巻: 21 ページ: 77

    • DOI

      10.1186/s13059-020-01991-8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] FABP7 regulates acetyl-CoA metabolism through the interaction with ACLY in the nucleus of astrocytes.2020

    • 著者名/発表者名
      Yoshiteru Kagawa, Banlanjo Abdulaziz Umaru, Hiroki Shima, Ryo Ito, Ryo Zama, Ariful Islam, Shin-ichiro Kanno, Akira Yasui, Shun Sato, Kosuke Jozaki, Subrata Kumar Shil, Hirofumi Miyazaki, Shuhei Kobayashi, Yui Yamamoto, Hiroshi Kogo et al.
    • 雑誌名

      Molecular Neurobiology

      巻: 57 ページ: 4891-4910

    • DOI

      10.1007/s12035-020-02057-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 対合不全精母細胞におけるHORMAD1 Ser378の局所的なリン酸化は未知のドメインで生じた後にpseudo sex bodyと共局在する2021

    • 著者名/発表者名
      向後寛、向後晶子、池澤麻衣子、松﨑利行
    • 学会等名
      第126回日本解剖学会総会・全国学術集会 / 第98回日本生理学会大会 合同大会
  • [学会発表] 対合不全精母細胞におけるマウスHORMAD1 Ser378の局所的なリン酸化はpseudo sex body形成よりも早期に起こる2020

    • 著者名/発表者名
      向後寛、向後晶子、池澤麻衣子、松﨑利行
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会
  • [備考] 研究室HP

    • URL

      http://anatcb.dept.med.gunma-u.ac.jp/

  • [備考] 個人HP

    • URL

      https://sites.google.com/gunma-u.ac.jp/hkogo

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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