生来の恐怖行動を制御する神経回路の発生メカニズムは明らかにされていないことが多い。本研究では、恐怖行動の減弱と恐怖・不安制御に関わる後方中隔核の構築異常を示すDpy19L1 KOマウスの神経回路形成異常について解析を行った。その結果、中枢神経系特異的Dpy19L1 KOマウスにおいて恐怖行動異常、後方中隔核構築異常および脳弓走行異常が観察された。さらに、後方中隔核ニューロン移動には脳弓の適切な走行が必須であること、大脳皮質特異的Dpy19L1 KOマウスの後方中隔核形成異常がわかった。以上の結果から、発生期大脳皮質に発現するDpy19L1が間接的に後方中隔核形成に関わることが強く示唆された。
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