研究課題
前年度に肢芽内のPhox2b陽性細胞が過剰に存在する変異マウスの系統を発見し、Phox2b-Creマウスを使用することで、変異マウスでは交感神経節由来のシュワン前駆細胞が肢芽内でニューロンに異常分化することを突き止めた。今年度は全てのシュワン細胞前駆体で駆動するPlp::CreERTマウスを使用し、変異マウスにおけるPhox2b陽性細胞が確かにシュワン前駆細胞に由来することを確認した。またこの遺伝子変異にまつわるシュワン前駆細胞での分子機構を解析するため、single cell RNA sequenceに向けた検討実験を行った。野生型マウスおよび変異マウスをPlp::CreERT; Rosa-lox-stop-lox-tdTomatoマウスと掛け合わせ、タモキシフェンを胎生10.5日目で投与して12.5日目に前肢を回収し、組織を解離した。この際最も死細胞が少ない解離条件や、氷上保存でどの程度細胞死が誘導されるかといった検討を行い、またPDGFRα抗体によるネガティブセレクションを行うことで、tdTomato陽性細胞を効率よく濃縮できることも発見した。このプロトコールにより、10x chromium controllerを用いてシングルセル化およびcDNAライブラリーを作成することに成功した。ライブラリー作成キットの輸入に時間を要したため、年度内中のRNAシーケンス解析とその後の実験は進められなかったが、現在次世代シーケンスによる解析を進めており、その知見を申請者の次期基盤C採択課題に活用する。また本年度は、変異マウスの遺伝子にloxPを挿入し、開始コドンを含むエクソンを除去するよう設計したfloxマウスの作成も行い、第一世代が誕生している。これをPlp::CreERTマウスと掛け、シュワン細胞での欠損が異所的なニューロン産生に十分かどうかを検証する。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
eneuro
巻: 8 ページ: 0534~20.2021
10.1523/ENEURO.0534-20.2021
Development, Growth & Differentiation
巻: 63 ページ: 285~294
10.1111/dgd.12740