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2019 年度 実施状況報告書

ピロリ菌による炎症を基盤とした発癌メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K07270
研究機関大分大学

研究代表者

濱田 文彦  大分大学, 医学部, 教授 (70252707)

研究分担者 村上 和成  大分大学, 医学部, 教授 (00239485)
二宮 遼  大分大学, 医学部, 助教 (00794041)
赤嶺 孝祐  大分大学, 医学部, 助教 (60799435)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードピロリ菌 / 炎症
研究実績の概要

① 薬剤依存性にCagA遺伝子を発現する胃粘膜上皮細胞株AGSを樹立した。
我々はこれまでCOS-7細胞を用いて、CagA発現によって細胞内スフィンゴシン-1-リン酸(以下 S1Pと略す)量が増加し、その原因としてスフィンゴシンキナーゼ(S1Pを増加させる)の発現が増加すること、S1Pリアーゼ(S1Pを分解する)の発現が減少することを明らかにしているが、この現象が一般的に認められることを確認するため、薬剤依存性にCagA遺伝子を発現する胃粘膜上皮細胞株 AGSを樹立した。具体的にはPiggyBac Transposon Vector System および Tet-On System を用いることにより、doxycycline存在下で V5-tagged CagA 遺伝子を発現するヒト胃粘膜上皮細胞株 AGS-Tet-on-V5-CagA を樹立した。DoxycyclineによるCagAの発現誘導は、Western blottingおよび免疫染色法によって確認した。

②CagAの発現による細胞内S1P量の増加、スフィンゴシンキナーゼの発現の増加、およびS1Pリアーゼの発現の減少を確認した(現在、一部実験を継続中)。
S1Pの定量は液体クロマトグラフィー質量分析法を、各酵素の発現量はreal time PCRおよびWestern blottingによって定量した。COS-7細胞で認められた細胞内S1P量の増加、スフィンゴシンキナーゼの発現の増加、およびS1Pリアーゼの発現の減少が胃粘膜上皮細胞株 AGSにおいても認められた。これらの知見をさらに強固にするため、現在継続して確認実験を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

我々はこれまでCOS-7細胞を用いて、CagA発現によって細胞内S1P量が増加すること、その原因としてスフィンゴシンキナーゼの発現の増加とS1Pリアーゼの発現の減少が挙げられることを明らかにしてきたが、この現象が胃粘膜上皮細胞株AGSでも同様に認められることが確認できた。これは、当初の実験計画どおりである。

今後の研究の推進方策

今後はCagA発現に起因するS1P量の増加によって、STAT3およびNF-kBの活性化 (STAT3およびp65の総量とリン酸化型の量をWestern blottingによって定量) とc-mycおよびbcl-2の発現量 (real time PCRおよびWestern blottingによる) の増加の有無を解析する。CagAの発現によって惹起されるこれらの現象が、スフィンゴシンキナーゼ阻害剤SKI-IIやS1P受容体のアンタゴニストFTY720 (Fingolimod) の投与、siRNAによるスフィンゴシンキナーゼのノックダウン、あるいはS1Pリアーゼの過剰発現によって阻害されることを証明する。

次年度使用額が生じた理由

S1P を測定するために必要となる消耗品の一部が大学の全学研究推進機構から供給されたこと、コロナウイルスの感染拡大から年度末に予定されていた学会がキャンセルされたことなどにより、次年度使用額が生じた。実験はほぼ順調に進んでいることから、今後消耗品の購入が増えると考えられ、これに充てたいと考えている。

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公開日: 2021-01-27  

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